自分で掛け軸の破れやシミの修理はできる?修理内容や方法とは

掛け軸に破れやシミができてしまった場合、できれば自分で修復ができないか試みる人もいるのではないでしょうか。 掛け軸の修復は、自分で行う方法と専門業者へ依頼する方法の2つがあります。 本記事では、掛け軸の修復について必要となる知識や専門業者の選び方について解説します。所有する掛け軸に汚れや破損を見つけたときは、ぜひ参考にしてください。

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自分で掛け軸は修復できるのか?2つの修復方法

掛け軸は非常にデリケートな工芸品であるため、取り扱い方や保存方法を間違えると、シミや汚れに繋がります。

所有する掛け軸に気になる箇所が見つかったとき、修復する方法としては、冒頭で述べたとおり、自分で直す方法と専門の業者に依頼する2つの方法があります。

1.自分で掛け軸を修復する

自分で掛け軸を修復するためには、寸法や材質を調べて、どのような修復作業が最適であるか見極められる専門知識と技術が必要です。

なぜなら、掛け軸は和紙や絹などの素材が何層にも重なって作られているため、修復作業を間違えると、傷みや汚れが悪化する恐れがあるからです。

もし、傷みや汚れが悪化してしまうと、掛け軸を修復できないばかりか、元の状態に戻すことも難しくなります。

また自分で修復を試みて、失敗してから専門業者に依頼をすることもおすすめできません。

修復にかかる費用が通常よりも高くなるだけでなく、掛け軸の素材に適さない作業や薬品を使用していた場合、素材が傷んでしまい、失敗をリカバリーできない可能性もあるからです。

このようなことから、専門知識や技術を持たない場合は、素人による掛け軸の修復は避けた方が安全といえるでしょう。

2.専門業者へ掛け軸の修復を依頼する

専門業者は、掛け軸の取り扱いに関する専門知識と技術があるため、たとえ、年代物で状態の悪い掛け軸でも修復が可能です。

作品の構造や使われている素材、過去の修復歴などから、最適な修復作業を見極めます。そして、作品を傷つけないように慎重に作業を行い、本来の作品がもつ輝きをよみがえらせるのです。

また、掛け軸が後世に受け継がれていくように、見た目にはわからないほどの細かな箇所の修復や補強なども行います。この作業は、専門知識をもった職人にしか行うことができない作業のひとつといえます。

専門業者へ修復を依頼する場合の費用は、掛け軸の傷み具合や寸法、修復方法、仕立てのランクなどによって異なります。

傷や劣化が浅い段階で、早目に修復することで費用を抑えられるため、気になる箇所がある場合は、専門業者に相談してみると良いでしょう。

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掛け軸の修理する主な4つの箇所

掛け軸を修復する方法として、以下の4つのやり方があります。

1.シミ抜き

掛け軸は湿気に弱いため、シミができやすい傾向にあります。また素材の経年劣化によっても変色しやすく、見た目にも悪い印象を与えてしまうことも少なくありません。

掛け軸にできたシミを落とす方法としては、水洗浄と薬品によるシミ抜きがあります。

湿気や水分によるシミの場合、水洗浄で落とせます。水洗浄では落ちないシミや、経年劣化による変色や茶褐色のシミの場合、薬品を使用します。

どちらのやり方でシミが落ちるか、薬品を使用する場合はどの薬品が適切かなどを見極めるためには、専門知識や経験などが必要です。市販のシミ抜き剤を使用すると、シミと一緒に書や絵画まで色落ちしてしまうおそれがあるため、自分で行うのは避けた方が良いでしょう。

2.破れの修復

掛け軸は和紙や絹でできていることから、取り扱う際に誤って破れてしまうことがあります。

掛け軸にできた破れを修復するためには、裏側から紙を当てて補修を行います。破れた範囲が大きく、損傷が激しい場合は、作品を分解して修理することもあります。

年代物の掛け軸は、素材自体が弱くなっているため、作品を傷つけないように補修することが重要です。破れた箇所が少しだからと、自分で修理をすると作品にダメージを与えてしまうおそれがあるため、専門業者に任せた方が無難です。

3.ひび割れの修復

掛け軸は、経年劣化によって細かいひび割れが発生します。

絵画のある本紙にできた横ヒビは、漉きはめ修復という方法で修理を行います。漉きはめ修復とは、修理するための素材と、同質の紙の原料液を流し込んで形成を行う方法です。

やり方は、本紙を漉きはめ修復用の漉き簾の上に置き、絵画がにじまないように処理をした後に、紙の原料液を流し込みます。

その後、余分な水分を吸収して、干し台で自然乾燥を行えば漉きはめ修復は完了です。

4.掛け軸仕立て直し

掛け軸は、和紙や絹が何層にも重ねられているため、掛けっぱなしにしたりきつく巻いたりすることで折れやシワができることがあります。

掛け軸の折れやシワが目立って気になる場合は、ゆがみを仕立て直しましょう。

掛け軸の仕立て直しは、掛け軸の状態を確認した後、大きさを計り解体します。シミや破れがある場合はここで修復を行い、再度掛け軸に組み立てていきます。

仕立て直しでは、元の表装を使用する場合もありますが、新しい表装を使用することも多いです。新しい表装に仕立て直す際は、作品のイメージに合ったものを選ぶことが重要です。

このように、掛け軸を修復するためには専門知識だけでなく専用の道具や材料を必要とするため、自力での作業は避けた方が安全といえるでしょう。

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掛け軸の修理での専門業者の選び方のポイント

一口に専門業者といっても、職人の技術や実績などが異なるため、信頼できる業者を選ぶことが大切です。ここでは、掛け軸の修理を安心して依頼できる業者の見極め方について解説していきます。

掛け軸の修理実績があるかどうか

掛け軸を適切に修理するためには、掛け軸に関する専門知識だけでなく経験も必要です。信頼できる業者かを見極めるために、業者の修理実績を確認しましょう。

修理実績は、業者のホームページで確認することが可能です。修理前後の写真や、どのような修復を行ったかなど、事例とともに解説していますので、チェックしてみてください。

また、ホームページに記載がない場合は、電話で確認することもできます。修理を依頼している旨を伝えて、同じような修復を過去に何件手がけているかを聞いてみましょう。

掛け軸のこだわりや要望を聞いてくれるかどうか

先祖代々受け継いてきた大切な掛け軸や、思い入れのある掛け軸を修理する際は、依頼者の要望をしっかりとヒアリングしてくれる業者を選びましょう。

なぜなら、掛け軸の修理は元の状態に戻すことがすべてではないからです。時間の流れとともに変化した風合いを維持しながら、作品がもつ魅力を最大限によみがえらせることが何よりも重要になります。

また、修理にかかる費用は、掛け軸の損傷具合、寸法、修復方法によって異なります。予算に限りがある場合は、費用面でも相談をしっかりと行ってくれる業者を選びましょう。

費用面の相談も丁寧に行ってくれる業者なら、追加費用が発生する際も事前に連絡をしてくれるため、見積もりと実際の費用の差異がほとんどありません。

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まとめ

掛け軸を修復するためには、専門知識や技術を必要とするため、自分で修理をするのは避けた方が無難です。もし間違った方法で修理をした場合、作品を傷めてしまうだけでなく、元の状態に戻せなくなるおそれがあります。

掛け軸の修理を依頼するなら、豊富な経験と実績のある業者を選びましょう。また予算や費用についても丁寧に相談にのってくれる業者を選ぶことが重要です。

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