畳を天日干しする効果とは?畳を長持ちさせるお手入れ方法を紹介

居心地の良い和室を保つためにも、室内を定期的に手入れすることは大切です。特に畳は手入れを怠るとカビやダニが発生しやすくなります。 畳に使用されている『い草』は湿気を吸収する性質をもっています。そのため、和室は空気清浄機を使わずとも、室内を快適に保ってくれるといわれているのです。 一方で、室内の湿気を吸収するため、畳の内部は水分が含まれてしまいます。手入れせずに放置していると、ダニやカビが増殖することになるでしょう。 畳の湿気を取るには、天日干しが効果的です。頻度は年に2回が望ましい といわれています。 そこで今回は、畳を天日干すことで得られる具体的な効果と天日干しの方法を紹介していきます。

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畳を長持ちさせたいなら天日干しをしよう

実は畳の表面の「畳表(たたみおもて)」は5年程度、畳の芯である「畳床(たたみどこ)」は20~25年程度で寿命を迎えるといわれています。

畳を手入れせずに放置すると、寿命より劣化する こともあるでしょう。できるだけ畳を長持ちさせたいなら、普段からこまめに掃除すること、そして定期的に天日干しするのがおすすめです。

この項目では、畳を天日干しすることで得られる効果を具体的に紹介していきます。

畳を天日干しすることで得られる効果

畳には湿度が高いときに湿気を吸い、湿度が低いときには湿気を放出する調湿効果があります。そのため、畳があると部屋の湿度を快適に保ちやすいのですが、湿気が多い状態が長引くと、畳が湿気を吸い過ぎてカビやダニが繁殖しやすくなるのです。

畳を天日干しすれば、畳が吸い込んだ湿気をしっかり乾燥させられるので、カビやダニの繁殖を防げます。

畳のカビやダニがひどくなったら、畳表を張り替えたり畳床を新調したりしなくてはなりませんが、定期的に天日干ししてカビやダニを防げば、張り替えや新調までの期間を延ばせるでしょう。

畳を天日干しする頻度・時期の目安

畳を天日干しする頻度の目安は、年2回です。湿度が低い春と秋の、よく晴れた日に干すと良いでしょう。

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畳を天日干しする方法

「畳を干したほうが良いことはわかったけど、干し方がわからない」という人も多いでしょう。この項目では、畳を天日干しする方法を解説します。

畳を天日干しするときには、次のものを用意しましょう。畳の取り外しや移動、ホコリの除去に役立ちます。

・手カギもしくはマイナスドライバー

・軍手

・タオルまたはマスク

・ハタキ

1.畳の上のものを移動させる

畳を天日干しするには、畳を外して屋外に移動させなくてはなりません。まずは畳の上にある荷物や家具を移動させましょう。

家具はもちろん、畳自体もそれなりに重量があるので、ケガをしないように複数人で作業できる日を選ぶのがおすすめです。

また、家具を移動したり畳を外したりすると大量のホコリが舞うことがあるため、作業開始前にマスクをつけておきましょう。

2.畳を外す

次に畳を外します。スムーズに作業を進められるように、中央に近い畳から外していきましょう。

とはいえ、自力で畳を外すのは簡単ではありません。専用の道具を用意することをおすすめします。畳専用 工具の『手カギ』もしくは『マイナスドライバー』を準備しておきましょう。

道具を用意したら、てこの原理で畳を持ち上げます。手順は以下です。

1. 畳の縁に道具を差し込む

2.てこの原理で持ち上げる(畳に差し込んだ道具を倒すように畳を持ち上げる)

3. 畳を部屋の壁に立てかける

マイナスドライバーを使用するときは、畳の下の床面までしっかりと差し込みましょう。床面まで差し込まなければ、畳を傷つけてしまうおそれがあります。

3.外した畳には印をつける

畳を外すときは畳の位置を忘れないように、必ず目印 を付けておきましょう。

職人が部屋の形に合わせて畳をつくっています。畳の位置が変わると、畳床が凸凹になってしまったり、畳がうまくはまらなかったりなど逆に畳を痛める原因を作ってしまうことになりかねないです。必ず同じ場所に戻しましょう。

4.畳を干す

外した畳を運んで、直射日光が当たらず風通しが良い屋外に立てかけましょう。畳表が日に焼けないように、裏面(畳床側)を日光に向けてください。

そしてはたきなどで畳をたたいて、ホコリやゴミをしっかり落とします。畳を干す時間の目安は、午前中から4~5時間程度です。

5.干す場所がなければ上げるだけでもOK

畳の種類にもよりますが、一般的な畳は1枚あたり縦170~190センチメートル程度、横85~95センチメートル程度の大きさがあります。そのため、1度ですべての畳を干すには、かなりのスペースが必要です。

「畳を干せるスペースがない」という場合は屋外に干すのではなく、畳を少し持ち上げて空き缶や空き瓶などを置き、風通しを良くするだけでも湿気対策になります。

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畳を天日干しするときの注意点

カビやダニの繁殖を防ぎ、畳を長く使い続けるために重要な天日干しですが、ただ日光に当てれば良いというわけではありません。正しい方法で干さないと、畳を劣化させたり傷めたりするおそれがあります。

ここでは畳を干すときの注意点を4つ紹介しますので、作業する前にチェックしてみてください。

表面に直射日光は避ける

畳を干すときに畳表に直射日光を当てると、畳表が日に焼けてしまい、畳が早く劣化する原因になります。畳表に日が当たらないように、畳表は下側に、畳床が上側に来るようにして干しましょう。

強風・湿気の多い日は避ける

畳を天日干しする目的は、畳を乾燥させて湿気を追い出しカビやダニを予防することなので、湿度が低くカラッと晴れた日に干しましょう。

湿気が多いときに干すと、逆に畳が湿気を吸収してしまい、ダニやカビが繁殖する原因になります。梅雨の時期など、晴れていても湿度が高いときは、畳を干すのは避けましょう。どうしても畳の湿気が気になる場合は、乾燥機やエアコンで対処してください。

また、風が強い日の天日干しも避けたほうが良いでしょう。大きな畳は風に煽られやすいため、運んでいるときに転倒してケガをするおそれがあります。

干している間に畳が倒れて汚れや傷がつくことも考えられるので、できるだけ風のない日に干しましょう。

土や草の近くは避ける

自宅の庭で干す予定の人は、土や草の近くは避けましょう。

土は湿気を含んでいるため、土の近くに干すと畳が湿気を吸収する可能性があります。また、草が近い場所に干すと、自然に生息しているダニが畳に侵入するかもしれません。

どうしてもスペースがない場合は、畳が土や草に触れないように、コンクリートブロックなどの上に畳を置くと良いでしょう。

畳を張っている床の掃除もしっかりしておく

畳の下は、普段なかなか掃除できない場所です。ホコリやゴミが溜まっていることも多いので、天日干ししている間に床を掃除しておきましょう。拭き掃除は、掃除機で念入りにホコリやゴミを吸い取ってから行います。

ただし、床に水分が残っている状態で畳を戻すと、せっかく干した畳が再び湿気を吸収してしまいます。床を水拭きした場合は、しっかり乾燥させてから畳を戻しましょう。

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日常的な畳のお手入れ方法

年に2回の天日干しも大切ですが、日常的にお手入れすることも畳を長持ちさせるために必要です。ここでは、日常的な畳のお手入れ方法について解説します。

乾いた雑巾で乾拭きする

畳の汚れが気になるときは、乾いた雑巾や固く絞った雑巾で拭き掃除をしましょう。濡れた雑巾で拭いてしまうと畳の光沢がなくなってしまい、湿気の原因にもなるので注意しましょう。

乾拭きをするときは、畳の目に沿って丁寧に拭くことがポイントです。一畳あたり30~60秒をかけて、ゆっくりと拭きましょう。

湿気が溜まらないように換気する

畳は湿気が多い状態が長く続くと、湿気を吸い過ぎてしまいます。室内の湿度を下げるためにもこまめに窓を開けて風を通し、湿気が溜まらないようにしましょう。

室内の湿度が60%以上だとダニが増殖しやすくなるため、60%以下に保つことをおすすめします。

天日干しするときと同様に、換気をするときも畳に直射日光が当たらないように注意しなければいけません。直射日光が当たると畳が傷んで変色する原因となるため、カーテンやすだれを使うなどの工夫をしましょう。

畳の目に沿って掃除機をかける

畳の表面のゴミやホコリを掃除機で取るときは、畳の目に沿ってやさしく掃除機をかけましょう。傷つきにくく、目の間に入ったゴミやホコリも吸い込みやすくなります。

畳をよりやさしく掃除するには、ほうきを使うのがおすすめです。ほうきを使って掃除をする場合も、畳の目に沿ってやさしくかけるようにしましょう。

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畳の汚れやカビの落とし方も把握しておこう

ここでは、畳の汚れやカビを落とす方法を紹介します。畳についた汚れやカビは、早く対処するほど落としやすくなるので覚えておきましょう。

畳の張り替え時期や替えどきの目安については、下記の記事でも詳しく解説しているのであわせてチェックしてみてください。

畳の張り替え時期は?替えどきの目安やメンテナンス方法を解説

飲み物や調味料をこぼしたとき

畳にお茶やジュース、しょうゆなどの液体をこぼしたときは、できるだけ早く乾いた雑巾で拭き取りましょう。

拭き取るときは雑巾に液体を吸わせるイメージで、軽く押さえることがポイントです。しっかり拭き取ろうと強く擦ってしまうと、畳が白っぽくなるので注意しましょう。

液体の色素が濃かったり、お手入れが遅れてシミになりかけたりしているときは、粉末の酸素系漂白剤を使う方法もあります。

熱いお湯に粉末の酸素系漂白剤を入れて溶かし、その液体を歯ブラシや綿棒につけて、畳の目に沿ってやさしく擦ります。そのあとは固く絞った雑巾で拭き取りましょう。

油性のものをこぼしたとき

食用油やバター、乳液、口紅といった油性の液体を畳にこぼしたときは、薄めた中性洗剤を雑巾に含ませて、固く絞ってから拭き取ります。

中性洗剤が畳に残ってしまうと撥水効果が落ちてしまうので、汚れを取ったあとはよく拭き取ることが大切です。

強く擦ると畳の傷みにつながり、寿命を縮めてしまうので注意しましょう。

カビが発生したとき

畳にカビが発生してしまったときは、換気をしてよく乾かします。しっかりと乾いたら畳の目に沿って掃除機をかけましょう。

カビがひどい場合は、消毒用アルコールか漂白剤を雑巾に染み込ませて拭き取ったあと、乾拭きで水気を取りましょう。

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まとめ

畳は湿気を吸収する性質があり、そのまま放置するとカビやダニが繁殖する可能性があります。年に2回程度で良いので天日干しして、しっかり乾かしましょう。

ただし、湿気が多い時期や土の近くに畳を干すと、かえって畳が湿気を吸ってしまいます。また、草が近い場所に干すと畳にダニがつくことがあるため、春や秋の湿度が低くカラッと晴れた日に、土や草から離れた場所で干すようにしてください。

梅雨の時期に畳の湿気が気になったとき、畳を干すスペースがないときは、畳を持ち上げて空き缶などを置き、風通しを良くするだけでも効果的です。

畳を干さずに放置してカビが生えてしまった、劣化して見栄えが悪くなったというときは、畳表の張り替えや畳の新調を検討しましょう。

畳の張り替えや新調の依頼先で迷ったときには、ぜひ襖、障子、網戸、畳の張り替え専門店金沢屋にご相談ください。

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