襖の張替えに失敗した事例と原因とは
最初に、襖を張り替える際の失敗事例と、考えられる原因を解説します。いずれも張り替えに慣れないうちは、ついやってしまいがちな事例ばかりです。あらかじめ対処方法を知り、上手く張り替えを行ってください。
襖紙が波打ってボコボコのまま直らない
襖紙には水分を含むと伸びる特性があり、逆に乾燥すると縮んでいきます。そのため、張り替える際には十分に伸ばした状態で行う必要があります。
襖紙がたるんだり、シワになったりと原因はさまざまです。基本的には襖紙の種類・張り方・湿気によって起こります。
襖紙には以下のタイプがあり、襖紙の種類によって張り方も変わります。いずれの襖紙も失敗すると全体が波打った仕上がりになり、大量のたるみやシワになることがあるため、張り方にも注意が必要です。
・アイロンで張るタイプ…初心者に一番おすすめのアイロンタイプですが、スチームアイロンをあてる際、湿気を吸って伸びる分、少しずつ動かしながら張り付けていかないとたるみが出てきてしまいます。
・水で張るタイプ…水で張るタイプであれば、水の塗布が完了して3~5分ほど紙が伸びきるまで置いておくのがポイントです。
・粘着シールで張るタイプ…粘着シールで張るタイプはシールを剥がすだけで簡単に接着することができますが、シールが違うところに引っ付かないようふたりで作業を行うのがおすすめです。
また、襖紙の収縮は部屋の湿度の高さなどに起因することもあるため、湿気は極力避けるようにしてください。
空気を押し出したらあちこちにシワが寄った
波打ちはないのに数箇所にシワのラインが入ってしまうことがあります。この場合、水分を吸った襖紙のたるんだ部分にある空気がうまく押し出せず、余った紙が重なってしまったのが原因です。乾くと、ある程度目立たなくなる部分もあれば、シワが残る場合もあります。
接着が弱く剥がれてしまった
枠を外さずに張り替えようとすると、接着が弱くなることがあります。また、下地との相性が良くないために襖紙が剥がれてしまうことも。加えて、下地に汚れや凹凸があると、接着面が密着せず襖紙が乾いて縮み、剥がれやすくなることもあります。
張る際にきちんと圧着すると、剥がれるリスクを減らせるので手間を惜しまないことが大切です。
枠を外そうとしたら折れてしまった
枠の構造によっては、外れにくくなっているものもあり、無理に外そうとすると折れてしまう事もあります。もしくは、木材の劣化でもろくなっていたり、接着剤で固定されていたりする場合もあるため、力まかせに枠を外すことはやめましょう。
襖の種類と襖紙との相性をチェック
襖を張り替える際は、襖の種類に合った襖紙を使うことが大切です。相性が合うかどうかが、襖の仕上がりを大きく左右します。また、襖の種類は多岐にわたります。この項目では3つの種類の相性を紹介していきます。
・本襖…伝統的な襖のこと。組子と呼ばれる細い木枠の上に、襖紙を張り重ねる手法で作られています。
・板襖…組子の上にベニヤ板を張り付けます。その上に襖紙を張り付けた襖のこと。戸襖と呼ばれることもあります。
・段ボール襖…組子の上に段ボールを貼り付けます。その上に襖紙を張り付けた襖のこと。襖が軽いことが特徴です。
これらの襖と襖紙の相性を解説していきます。
アイロンで張るタイプの相性
組み合わせ | 相性 | 備考 |
本襖の襖紙をアイロンで張る | △ | 組子以外の部分で、接着不良による浮きが起きないようにしましょう。 |
板襖の襖紙をアイロンで張る | 〇 | ビニールなどの下地はあらかじめ剥がしましょう。 |
段ボール襖をアイロンで張る | 〇 | ビニールが貼ってあったり、表面が樹脂加工されていたりすると、貼ることができません。 |
水で張るタイプの相性
組み合わせ | 相性 | 備考 |
本襖の襖紙を水で張る | 〇 | 本襖であれば問題なく張ることができます。 |
板襖の襖紙を水で張る | △ | 枠の内側にのりを塗って補強しましょう。 |
段ボール襖を水で張る | × | 相性が悪いためおすすめしません。 |
粘着シールで貼るタイプの相性
組み合わせ | 相性 | 備考 |
本襖の襖紙をシールで張る | △ | 組子以外の部分に浮きが生じることがあります。 |
板襖の襖紙をシールで張る | 〇 | 問題なく張れます。 |
段ボール襖をシールで張る | 〇 | 同上。 |
どのタイプの襖紙にもいえるのが、張る面をきれいな状態にして張るのがポイントです。穴をふさぐ・汚れやホコリを取り除く・ボンドで補強してから張るなどといったひと手間をかけることで上手に襖を張り替えられます。
よくある失敗の対処法と予防策
これまで紹介した失敗例に対して、どのように対処したらよいのか、また失敗を予防する方法などを紹介します。
アイロン接着タイプの襖紙の失敗には
アイロンタイプでふくらみが発生し、ボコボコと膨らんでしまった場合、高温スチームをあててから、ドライアイロンをあてると効果的です。途中まで剥がして張り直すのもひとつの方法です。
また、アイロンをかける際は、以下の部分を注意しましょう。
・低温に注意:ふくらみが出る可能性があります。
・力の入れすぎに注意:強く押すと、骨組みの跡が残る可能性があります。
何度貼っても剥がれてくる壁紙には
下地の素材がツルツルしていて接着しづらいと、何度張っても剥がれてくることがあります。襖専用の両面テープ・襖専用ののりや、でんぷんのり糊を使って補強しましょう。また、凸凹を平らにしてから張るといった対策を行いましょう。
たるみやシワができたときの処置と予防策は
襖の張り替えをするうえで、たるみやシワはどうしてもできやすいものです。
たるみやシワは乾燥すると目立たなくなります。水張りタイプの場合も、中央から外側に向かって空気を押し出すことで最初は湿ってぶよぶよになっていても、乾燥すればキレイになります。
ひとりではなくふたりで作業すれば、ある程度のたるみやシワを予防できるため、張り替える際は協力してやると良いでしょう。
仕上がりにこだわりたい!枠を外すことできれいに
襖の種類によって、枠の形式が異なります。仕上がりにこだわりたい場合は、枠を外すとキレイに仕上がります。
ただし、外し方が分からないために力ずくで外そうとすると折れることがあります。そのような場合は、専門業者に任せてしまいましょう。
和襖であれば枠の交換が可能です。折れ合い釘式か木ネジ式か、どちらの構造かを見極めて外すようにしましょう。元通りにできるか分からない、もしくは和襖以外の襖であれば、触らないほうが無難です。なお、市販の襖紙は、枠を外さずに張ることができます。
襖の張替えの失敗を防ぐなら業者に依頼
襖の張り替えに失敗すると、やむを得ず襖を新調しなくてはいけないケースもあります。DIY に自信がない方はご自身で対策を取らずに、業者に依頼するのが安心です。
襖の張替えのプロに任せれば安心
業者は襖の張り替えのプロですので、お客様のご要望通りに修理ができます。対応可能な依頼内容や依頼するメリットには、次のようなものがあります。
・失敗せずにきれいな状態に直してもらえる
・できるだけ安く済ませたい場合は予算に応じた補修内容で対応
・張ってある襖紙をすべて外してから張り直したい
・襖紙を剥がして中の状態を確認してから、適した方法で張替えできる
・ふすま自体が古いので新調したい
・大きな穴が空いているので埋めてから張り直したい
・純和風、和風モダン、洋風など部屋の雰囲気に合わせた襖が選択可能
・張替えか新調か、中の状態を見てプロの意見を聞いて判断できる
素人では襖の内部まで確認するのは難しいため、自分で張り替えるのが難しいようであればプロに依頼すれば安心です。
襖の張り替えは金沢屋
襖の張替えをプロに依頼されるのであれば、金沢屋へご依頼ください。金沢屋は、襖・障子・網戸・畳の張替え専門店として全国展開しておりますが、地域密着型のネットワークと豊富な実績を持っているのが強みです。お客様のご要望を伺いながら、現地で下見した上で正確なお見積書を作成します。
襖紙のラインナップを数多く揃えておりますので、ご予算に合わせたご相談および部屋の用途や雰囲気に合わせた襖紙を選ぶこともできます。
さらに襖の動きが悪い場合も修理いたしますので、襖に関してお悩みがございましたら、お気軽に金沢屋までご相談ください。
まとめ
襖の張り替えは、 一度失敗してしまうと修復するのが難しい場合もあります。特に小さなお子さまがいるご家庭や、ペットを飼っていらっしゃるご自宅では、時間をあまりかけられないため張り替えるのが難しいでしょう。襖の張替えでお困りのことがありましたら、ぜひ金澤屋までご用命ください。