襖(ふすま)の枠の交換はできる?DIYで修理する手順を紹介

襖は自身で枠の交換ができるタイプもあり、汚れや破れがあった際にもDIYできる可能性があります。 しかし、種類や破損状態によっては難しいケースもあるため、自己判断には注意が必要です。 今回の記事では襖の基礎知識を解説し、枠交換のできるタイプや襖紙の修復方法などを紹介します。

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襖の種類と基本的な構造

襖は種類によって構造が違うため、自力で修理する場合にはある程度の知識が必要です。

襖紙ひとつとっても、一般的に使用される和紙タイプと、糸の目を詰んだ織物タイプに分かれます。さらに普通紙と強度の高い強化紙などの種類があり、基礎を知らなければ適切な交換もできません。

まずは襖の種類や特徴を把握して、枠を交換するために必要な知識を身に付けておきましょう。

本襖(和襖)

日本の伝統的な襖で和襖とも呼ばれ、木を組んで作った芯材に下地(襖紙、袋張り、銅張り、茶ちりなど)を貼り、さらに襖紙を重ねて表面を整えて、木枠や縁、引き手を取り付けることで完成します。

手作業で職人が1枚ずつ作っているため、一気に大量生産ができません。特に下地には「浮かし張り」という技術を用いて袋張りが行われ、丁寧な作業が要求されます。

下地は「受け紙」、木で組んだ芯材を「中子骨」とも呼び、このふたつと襖紙の間には空間があるため、軽くて断熱性に優れているのが特徴です。

また、表面の襖紙はキレイに剥がせるため、破れや傷が発生してもお手入れしやすいメリットがあります。

襖紙にはさまざまなデザインがあるため、簡単に張り替えができて部屋の雰囲気を大きく変えられる点も魅力的です。本体が軽いこともあって、女性でも比較的作業がしやすいでしょう。

戸襖

和洋折衷の建物では和室と洋室が隣り合う場面も多く、その際に違和感なく設置しやすい仕切りが「戸襖」です。

ベニヤ板を芯材に用いることで丈夫な作りとなっていますが、本襖よりも重く表面を叩けばコンコンと硬い音がします。

和室側には襖紙を貼り、反対の洋室側には壁紙クロスを貼るスタイルが一般的です。これによって部屋に合った扉を設置できます。

ただし、両側に異なる素材を使用するため、耐久性の違いから建具などの反りが起きやすくなっています。

源氏襖

通常の襖は部屋の中の仕切りの役割を果たすことからも、光を取り込む採光性はほとんどありません。

しかし源氏襖の場合は、表面の一部に障子窓を施すことによって優れた採光性があり、茶室や奥座敷などの趣を演出する場所に向いています。

デザイン性が高く、職人の技術やセンスによって障子窓の配置や大きさ、形などを変えることが可能です。

美しい源氏襖を使用することによって、部屋全体をアート作品のような雰囲気に作り上げるともできるでしょう。

量産襖

本襖などは職人が手作業で製作する部分が多く、その分コストも時間も必要となります。

一般的な住宅にも広く普及するためには、生産効率性を高めることが重要で、材料や製法を工夫して安価で効率的に作られたのが量産襖です。

芯材には段ボールや発泡スチロールを使用し、それぞれ「段ボール襖」や「発泡スチロール襖」と呼ばれています。

素材の性質から非常に軽量でコストを安く抑えられることもあって、賃貸物件の和室にも多く使われるようになりました。

コスパが優れている反面デメリットもあり、職人が手がけた襖と比べると耐久性が劣ります。

さらに、あまり丈夫ではない上に襖紙を剥がして張り替えも行えず、枠を外すこともできません。修復ができないため、基本的に破損した場合は取り替えとなります。

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襖の枠の交換もOK!DIYで襖を修理する手順

ここからは、襖紙が破れた本襖を張り替える修理方法として、上から新しい襖紙を重ねる「重ね張り」を紹介します。

注意点として、重ね張りは一部が破れているときに適した手段ですので、破損が大きい場合や襖紙を取り除いてしまうとこの方法では修理できません。

反対に穴や汚れの範囲が小さい場合には、貼るシールタイプの修理グッズがおすすめです。かわいい形や模様のシールですので、簡単でおしゃれに補修できます。

それでは本題に入りましょう。

準備するもの

重ね張りをする際に準備するものは以下のとおりです。

・襖紙

・補修紙(はがきや画用紙などの薄くて強度のある紙でも可)

・のりと刷毛

・千枚通しやキリ

・木槌

・タオルややわらかい布巾などのあて布

自身で修理する場合は、費用のほとんどは襖紙の金額となりますので大幅な節約ができます。しかし、襖紙の種類によって金額に差がありますので、大まかな目安を紹介しましょう。

 

和紙1枚あたり

・新鳥の子:1,000円前後、量産された廉価タイプ

・上新鳥の子:2,000円前後、比較的安価な中級品

・鳥の子:4,000円前後、品質は手漉きに近い機械漉きの高級品

・本鳥の子:15,000円前後、手漉き生産の最高級品

 

織物1枚あたり

・普及版:2,000円前後、レーヨン糸を使用した廉価タイプ

・中級織物:2,500円前後、スラブ糸も使用される中級品

・上級織物:5,000円前後、ドビー糸を使用して手作業が施された最高級品

 

これらのグレードとは別に、普通紙と強化紙にも分けられます。強化紙はその耐久度が普通紙の約5倍で、防炎性能のあるものや傷防止効果の高いものなどさまざまです。

 

金額も同じように5倍前後しますので、用途に合わせて検討しましょう。紹介した相場は商品によっても変化しますので、あくまで参考程度にお考えください。

重ね張りの手順

それでは作業手順について説明します。

1.襖のサイズを測る

襖を敷居・鴨居から外して平坦な場所に置き作業を行います。

2.千枚通しやキリを使って引き手を外す

引き手は上下を鋲で固定されていることもありますので、千枚通しやキリを引き手と襖の間に入れて少しずつ浮かせるようにして抜きましょう。

3.釘を外して枠を取り外す

左右の枠を外す際は、準備した木槌などで枠の上から割れない程度に叩いて衝撃を加えると外しやすいです。左右を外した後、上下の枠を引っ張って外します。

外れにくい場合は、千枚通しなどを枠の間に差し込んで隙間を作ると良いでしょう。

4.破れ・穴が空いている場合は補修紙をカットし、襖に貼り付ける

損傷部分は補修紙を使い、穴よりも少し大きめにカットしてのりで貼り付けてください。

5.襖紙を仮置きし、外周に沿ってカットする

カットする際は襖よりもやや大きめにして、上下左右ともにプラス1センチメートルほど確保してください。

6.襖の表面に刷毛を使ってのりを塗り、ずれないように襖紙を張る

襖には表面にのりを塗り、襖紙にも貼り付ける側の周囲2〜3センチメートル幅でのりを塗り、縁の部分にも貼れるようにします。

7.あて布を表面に滑らせて襖紙を密着させ、空気やムラを押しだす

貼り付けた後は、あて布で中に残っている空気を押し出すように、中心から外側に向かってしわを伸ばしながら密着させていきます。襖紙が余分にはみ出たときはカットしてください。

8.枠を元に戻す

枠を戻す際は、上下を先に取り付けて木槌ではめ込み、次に左右の順番で戻してください。

9.引き手を取り付ける

もともとの位置に切り込みを入れて取り付け、鋲のある場合は同じように上下で固定するようにしましょう。

10.のりが乾燥するまで待つ

乾燥後に敷居・鴨居に戻す方がずれる心配も少なく安心です。

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枠の歪み、骨組みの変形は修理のプロへ依頼を

重ね張りのように、小さな損傷であれば自力でも修理できますが、枠のゆがみや骨組みの変形をDIYで修理することはほぼ不可能です。

また本襖は枠の交換もできますが、戸襖の場合は基本的に交換できません。判断が難しくDIYに不安のある方は、プロに任せる方が安心です。

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まとめ

襖にもさまざまな種類があり、DIYで枠を交換できるタイプは限定されています。

基本的に自身で対応できるのは本襖のみで、汚れや破れが発生した場合は重ね張りで修復する方法が比較的簡単です。

それでも、損傷が激しい場合は修復が難しく、別の種類であったり枠にゆがみがあったりすると素人での対応は難しいでしょう。襖の修理に不安のある方は、専門業者に相談しましょう。