【手順】簡単にできる!掛け軸の作り方
書や絵などの作品を、掛けて楽しめる状態に加工することを「軸装」と呼びます。由緒ある家宝の掛け軸はもちろん、気に入った作品を自分で掛け軸に仕上げて飾るのも風流です。
軸装は簡単にできるので、ぜひ一度試してみてください。ここでは具体的な作り方を解説します。
「表装」か「仮巻き」を選ぶ
オリジナルの掛け軸を作成するときに、まず決めたいのが「表装」で作るか、「仮巻き」で作るかです。
表装とは
表装とは表具とも呼び、職人が紙や裂を使用して裏打ちという補強作業を行う、伝統技術のことです。屏風や衝立、巻物などさまざまな道具で表装は取り入れられており、身近な物では襖も表装で作られています。
作品を丈夫に補強して保存しやすくする目的のほか、作品にふさわしい装飾を施すためにも用いられる手法です。市販されている掛け軸と同じようにしっかりとした軸棒や紙、裂を使用するため、材料費も含めると高額となる傾向にあります。
仮巻きとは
仮巻きとは、一枚の紙で作られた掛物状の軸に作品を貼り付け、簡易的に飾れるように仕立てる方法のことです。表装と比べると使用する材料が少なくシンプルなため、費用を抑えられるメリットがあげられます。
とはいえ、あくまでも簡易的な方法であるため、一般的にイメージされる掛け軸のような豪華さはありません。手軽に飾りたいときや、作品を保護しながら持ち運ぶときにおすすめです。
自作の掛け軸に必要なセットを準備する
まずは、自作の掛け軸に必要な道具を揃えましょう。作品の制作から始める場合は、書道道具一式を用意します。絵を描く場合は絵画用の道具が必要です。
そのほか、掛け軸本体を作るために、以下の道具も揃えます。
・掛け軸の台紙となる厚紙(1メートル弱程度)
・本紙(和紙がおすすめ)
・装飾用の色紙
・軸棒となる筒状の棒2本
・掛け紐などの紐
・作品を貼り付ける両面テープやのり
「はじめてだから少し不安…」という場合は安価な道具を使って、練習から始めると良いでしょう。
【ポイント】表装屋の手作りキットを使う
掛け軸を専門に取り扱う店や表装屋なら、手作りキットも販売されています。掛け軸の制作に必要な材料がすべて揃っているため、手軽に始めたい方に最適です。
ミニサイズの掛け軸や簡易的なものなら、1セット1,000円以内で購入できます。アイロンで当て布の上から温めるだけで作品を貼り付けられるタイプも販売されており、のり付けが苦手な方も手軽に掛け軸作りを楽しめます。
【ポイント】100円均一ショップで揃うアイテムも多い
「本格的すぎるものは避けたい」「まずは練習したい」という方は、100円ショップを利用して安価でアイテムを揃える方法もおすすめです。
たとえば、掛け軸の台紙として使用する厚紙は、100円ショップで工作用に販売されている厚紙や画用紙が利用できます。和紙や色紙はもちろん、園芸コーナーやDIYコーナーを見ると軸棒に使えそうな木材も見つかるでしょう。
両面テープやのりも、100円ショップで販売されているもので十分貼り付けられます。
自分好みの絵や字を描く
手作りセットを用意したら、次はいよいよ作品作りです。床の間やリビングに飾りたくなる、好みの絵や字を描きましょう。
掛け軸に向いた作品としては、字なら四字熟語や季語、ことわざ、自然を表す言葉などがあげられます。絵の場合は、自然や人物を描くケースが一般的です。
とはいえ、これらはあくまでも傾向なので、あまり既存のイメージにとらわれすぎず、自由に描くことを楽しみましょう。
作品の出来が掛け軸全体の印象を左右するため、何度か練習して納得のいく形に仕上げることが大切です。
台紙の色を決める
飾る作品が決まったら、次は掛け軸の本体となる台紙(厚紙)の色を決めます。台紙は掛け軸でもっとも広い範囲を占める部分です。全体の雰囲気に影響するため、作品のイメージを損なわない色を選んでください。
次に、台紙と同色の色紙を貼り付けて台紙を覆います。台紙や色紙でどの色を選べば良いか迷ったときは、無難なグレーやグリーンといった単一色を選ぶと良いでしょう。
【ポイント】裏打ちするとキレイになる
丈夫に仕上げたいときは、裏打ちも行います。「裏打ち」とは作品の裏に和紙や裂を張って寿命を延ばすことです。
厚手の型紙や布を縫合しながらつなぎあわせ、作品の裏側を支えます。多少お金をかけても良いのであれば、市販されている裏打ち用の紙もおすすめです。
台紙に作品を貼り付ける
次は、台紙に作品を貼り付ける作業です。しかし、書のように薄い紙をキレイに貼り付けるのは簡単ではありません。のりを付け過ぎたり、伸ばすときに強く擦りすぎたりすると、作品が破れてしまいます。
【ポイント】キレイな貼り方
のりを使用すると紙に凹凸が生じやすいため、作品を台紙に貼り付けるときは両面テープや手芸用ボンドの使用がおすすめです。のりやボンドを使用するときは、作品がよれないよう薄く均一に伸ばして貼り付けましょう。
紐と丸棒を付ける
掛け軸として床の間やリビングに飾れるよう、軸棒や掛け紐となる道具を取り付けます。
まず、丸い筒状の棒の1本に紐をかけ、掛け紐を作りましょう。紐は1メートル程度でカットしておき、両端を棒の左右に括り付けておきます。
掛け紐を取り付けたほうの棒が、掛け軸の上部に来るように台紙を貼り付けます。台紙はそのまま張り付けただけでは取れてしまうため、丸棒に二重巻きにしてから、のりやボンドでしっかりと接着してください。
重りを付ける
台紙の下に、残った棒を通します。棒は重りとしての役割もありますが、より雰囲気を出したいときや重さが足りず作品が風で揺れてしまう場合は、両端に風鎮を飾っても良いでしょう。
下に貼り付ける棒も、簡単には外れないよう台紙を二重巻きにして、のりやボンドで貼り付けます。棒に台紙を巻き付けるときは、上部とのバランスもチェックしてください。
一から掛け軸を自作するのは難しくない
画用紙など100円ショップで入手できるアイテムを利用すれば、掛け軸の自作は簡単です。お気に入りの写真など、生活の中でいろいろな作品を飾ることに利用すると、より身近なものになるでしょう。
お気に入りの絵や文字を掛け軸のプロに依頼する
自作も味があって良いものですが、特別な作品はプロの手でしっかりとした掛け軸に仕上げてほしいと考える方も少なくありません。
最後に、業者を利用したときの費用や仕上がりについて紹介します。
業者に掛け軸を依頼した場合の費用は?時間はどのくらいかかるのか
業者に作品を預けて、本格的な掛け軸制作を依頼することも可能です。費用は掛け軸の大きさにもよりますが、スタンダードなもので35,000~50,000円程度となります。
職人が一つひとつ丁寧に仕立てるため、40~60日程度かかるのが一般的です。
業者なら本格的な掛け軸を作ることが可能
市販されている掛け軸のような、本物の表装を一から覚えることは容易ではありません。数年練習して身に付けていく技術のため、大切な作品の掛け軸は無理に自作せず、業者に依頼する方法がおすすめです。
特にのりの扱いが難しく、キレイに塗れたとしても台紙に貼り付けるときにシワになるリスクがあります。業者に依頼すれば、キレイに貼り付けてもらえます。
まとめ
掛け軸は簡易的な方法であれば、自宅で手作りすることができます。季節ごとの作品を飾りたいときは、手作りしてみてはいかがでしょうか。
お子さまがコンクールで賞をとった絵や書など、特別な1枚を本格的な掛け軸に仕立てたい場合は、オリジナルの掛け軸作りができる「金沢屋」にご相談ください。作品にぴったりの台紙や掛け紐で、素敵な掛け軸をお届けします。
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