古くなった掛け軸はどうする?掛け軸処分の3つの方法

長年、家に飾ってある掛け軸だと、しみや汚れ、変色、シワ、破れなどが気になることがあります。そのため、古くなり処分をするべきか、処分するのであればどのようにするべきか、迷われる方もいるかもしれません。 そこで今回は掛け軸の処分のしかたや処分以外の方法を紹介します。

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掛け軸の処分を検討する前に!修復する方法も検討しよう

古くなった掛け軸を処分して新しい掛け軸に入れ替えることもできます。しかし、古い掛け軸を気に入っていてなかなか手放す決断ができない方もいるでしょう。

掛け軸を処分するのではなく、修復する方法もあります。修復可能な範囲であれば、古い掛け軸をよみがえらせることができるかもしれません。汚れや破れなどで処分を検討している場合は、修復することを検討されてみてはいかがでしょうか。

掛け軸の修復では、どんな状態でも回復の可能性を期待できます。例えば、湿気の多い場所に置いたことなどによりできたしみです。しみは見た目にも影響を与えるだけでなく、放置すると穴ができてしまうことがあります。

掛け軸の変色、掛け軸の破れも修復できる劣化です。変色については時代の流れを感じさせる部分でもあるため必ずしも修復が適当な選択ではありませんが、鑑賞を妨げるほどの変色は修復したほうが作品をより楽しむことができます。保管中にできてしまった折れやシミなども修復できます。

専門業者に依頼すれば、掛け軸の状態が悪くても修復できる可能性はあります。掛け軸修復に専門知識のある業者であれば作品を傷つけないよう細かな箇所まで修復できるため、今ある掛け軸に思い入れがある方は、依頼してみるのも方法のひとつです。

掛け軸の修復にかかる費用相場は以下の記事で詳しく解説しています。

【修復費用の相場】掛け軸の修理費用と保管するポイント

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掛け軸処分の3つの方法

掛け軸を修復するのではなく、新しい掛け軸と入れ替えるなどで処分する場合どのような方法が考えられるのでしょうか。3つの処分方法を紹介します。

1.ゴミに出す

まず、掛け軸はゴミとして処分できます。掛け軸は、主に、紙や絹などの素材でできていますので、基本的には可燃ごみです。ただし、プラスチックは自治体で扱いが異なりますので、プラスチックが使われている掛け軸は自治体の区分に従って処分します。

なお、大きい掛け軸は自治体によっては一般ごみではなく粗大ゴミに区分される可能性があるので、ゴミとして処分するときは、自身が住んでいる自治体で特別な取り扱いがないかも確認しておくと安心です。

書画や仏像が描かれているものなどはゴミとしてなかなか出しにくいですが、宗教的でないものや書道家などの作品的なものでなければ、心理的には捨てやすいかもしれません。また、鑑定に出してみたり、大衆用に広く流通しているような掛け軸なのかを確認したりすることで捨てるか捨てないかを判断してみるのもひとつの手です。

2.譲渡する

状態の良い掛け軸は、親族や知人など掛け軸をほしい人に譲る方法もあります。捨てるのに抵抗がある方は、誰かほしい人はいないか周りに尋ねてみるのも良いかもしれません。

なお、ある程度の価値がある掛け軸については贈与税がかかることがあります。贈与税とは、個人が金銭や物品などの財産を取得したときに、取得した財産について課される税金です。暦年課税では基礎控除の110万円を超える金額について課税を受けます。

掛け軸など美術品や骨とう品に該当するものは、原則として鑑定により見積もられた額、低額の場合は適当な取引事例をもとにした金額での評価が必要です。掛け軸を譲る人が取得したときの金額ではなく、時価により価値が評価される点に注意しましょう。

一定以上の価値がある場合は、譲り受けた人が贈与税を支払うことになりますので、譲渡する際は掛け軸自体の価値なども含め、譲り受ける人と話し合うことをおすすめします。

また、価値のある掛け軸は美術館などに寄付をするのも選択肢として考えられるでしょう。重要文化財に指定されているものや登録有形文化財のうち一定のものなど、文化的に価値の高いものは国や自治体に寄付できることがあります。

ただし、掛け軸の文化的価値がない場合は、寄付の対象にならないものもありますのでご注意ください。

3.魂抜き(閉眼供養)後にお焚き上げする

仏壇の中にある掛け軸(仏壇掛け)などに描かれた、如来像や菩薩像などの仏像には魂が宿るとされています。宗教的には、掛け軸に描かれた仏像も仏像であることに変わりありませんので、そのまま処分するのははばかられる人もいるかもしれません。。

仏像や神様などが描かれた掛け軸については、お寺で処分してもらう方法もあります。仏像の場合は、開眼供養といって魂を入れる儀式をしているはずですので、処分するときは反対の儀式である掛け軸から魂を抜く魂抜き(閉眼供養)が必要です。

魂抜きとは、掛け軸から魂を抜くためのお経を読んでもらうことで、お寺などに依頼して行ってもらいます。菩提寺があれば菩提寺に依頼するのが筋でしょう。菩提寺がないときは供養仕舞いを行う業者を利用する方法もあります。

魂抜きには、だいたい数万円程度のお布施が必要です。お布施は依頼するお寺などで異なりますので、事前に確認されることをおすすめします。

魂抜きをした掛け軸は、お焚き上げで処分することも多いです。お焚き上げは、神仏像やお守りなどの宗教的なものを火で焚く儀式のことで、浄化や供養の意味があるとされています。

いくら魂抜きをした掛け軸とはいえ、神様や仏様の描かれた掛け軸をゴミとして処分するのははばかられることでしょう。

魂抜きを依頼したお寺でお焚き上げまでお願いしてしっかり供養してもらう方法もありますし、お焚き上げが難しい場合は、魂抜きを依頼した業者に焼却まで依頼する方法もあります。

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掛け軸は状態が良ければ高額買取も可能

掛け軸の中でも、高名な作家の作品は買い取りの際に、ある程度評価される可能性があります。また、一見価値がなさそうな作品であっても、鑑定によって高く評価される可能性もゼロではありません。広く知られていないような作品でも、コレクター人気が高く価値のある作品も存在するためです。

鑑定を依頼してある程度の価値が期待できるときは、掛け軸を業者に買い取ってもらい現金化するのも方法としては考えられます。なお、価値がある掛け軸かどうか判断するポイントは、作家、年代、入手経路の3つです。

まず、作家ものかどうかですが、著名な作家または人気のある作家の作品だと価値が付く可能性があります。ただし、有名な作品ほどレプリカや模倣品も出回っていますので注意したいところです。

次に年代ですが、制作年代が古い掛け軸で、かつ状態が良いものほど評価される傾向にあります。また、著名な人(作家本人や作家のご家族の方など)からの譲渡など然るべきルートからの入手であるかどうかも鑑定では重要なポイントです。

3つのポイントを満たし、かつ題材や技法、掛け軸自体の材質などが良い場合は高い評価を得られる可能性があります。

掛け軸を多様な観点からしっかり鑑定してもらいたいなら、古美術品などの専門の買取業者に依頼するのがおすすめです。リサイクルショップなど、専門的な鑑定が行われない場所では、いくら良い作品でも値が付かないこともあります。

買取業者に売却すれば、業者を通じて入手する誰かに思い入れのある掛け軸を使ってもらえるかもしれません。掛け軸の処分に迷っていてある程度の価値が見込めそうであれば、買い取ってもらうのも方法のひとつです。

まとめ

古くなった掛け軸は、処分するだけでなく、買い取ってもらったり、修復可能なものであれば修復して使い続けたりする方法もあります。「金沢屋」では、襖・障子・網戸・畳の張替えの専門店だけではなく、掛け軸の修繕も行っておりますので、修復を検討されている方はぜひご相談ください。

また、思い入れのある掛け軸でなかなか手放せないときは、今回紹介したようなあらゆる可能性を考えて処分方法を検討してみてはいかがでしょうか。