【和のインテリア】茶掛とは?掛け軸の意味と楽しみ方

皆さんは「茶掛」とは何かをご存じでしょうか?聞き馴染みがない方もいれば、聞いたことはあっても詳しくは知らないという方も多いでしょう。この記事では、茶掛の意味や楽しみ方について紹介します。

この記事は約6分で読み終わります。

「茶掛」とは?

そもそも茶掛とはどのようなものでしょうか?ここでは、茶掛についての基礎知識を紹介します。

茶室に飾る掛け軸のこと

茶掛とは、茶室の床の間に飾る掛け軸のことを指します。茶掛は、茶道具においてもっとも格式が高く、茶道に触れる機会が多い方にとっては馴染み深いものといえます。

茶室の床の間には、原則的に「墨蹟(ぼくせき)」と呼ばれる禅宗の僧侶が毛筆で書いた掛け軸を飾るように決められています

墨蹟には、禅宗の教えである「禅語」が書かれており、禅僧の心の状態を書き表しています。ただし、待合の席に飾る茶掛に関しては特に画題は問われません。

季節に合ったお花や一般的な書、趣味掛けなどを飾るのが一般的です。

茶掛に込められている意味

さまざまな意味や想いが込められている茶掛ですが、千利休がこの世に生まれる以前より、茶道のベースにあるおもてなしの精神や詫び寂びを表す手段や方法として、茶道の世界においては大切な役割を担ってきました。

また、茶掛を飾る理由もいろいろですが、茶席の主催者である亭主から客人へのメッセージであったり、その日の茶会の趣旨を伝えるためのものだったり、あるいは季節感を演出するために飾る方もいます。

茶会はただお茶やお茶菓子を楽しむためだけの場ではなく、以下のようなものです。

・おもてなしの心

・伝統的な作法

・茶道具の美

・茶室の雰囲気

など

たくさんの日本的要素が楽しめるようになっています。これまで茶室に掛けられた掛け軸の意味を知らなかった方であれば、茶掛に込められた意味を知ることによって、さらに茶の世界を楽しめるようになるでしょう。

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【時期別】茶室に飾る掛け軸の例

ここでは、季節を問わない茶掛や、四季に合わせて茶掛を紹介します。

時期に関係なく飾れる掛け軸

まずは季節を問わず飾れる茶掛について紹介します。以下の茶掛は、一年を通して飾れる掛け軸の代表例となります。

日日是好日(にちにちこれこうにち)

唐末の禅僧・雲門文偃(うんもんぶんえん)の悟りの境地の言葉とされ、「にちにちこれこうじつ」「ひびこれこうじつ」と読まれる場合もあります。

「楽しいときも、苦しいときも、今日という一日を大切に生きなさい」という教えを説いていると共に、「物事の良し悪しに一喜一憂せず、ありのままを良しとして受け入れなさい」といった意味があります。

和敬清寂(わけいせいじゃく)

茶道の心得を示す標語とされており、千利休の茶道の精神・境地を表した語といわれています。亭主と客人が茶席を通じて互いに心を通わせるさまを表しています。

漢字四文字に集約された意味を紐解くと、「誰とでも仲良く、お互いを尊重し合い、すべてにおいて調和を大切にし、何事も心から清らかであること。それによって穏やかでどんな状況にも動じない心にいたる」といった意味を表します。

円相(えんそう)

円相とは円形を一筆で描いた墨蹟であり、禅の思想を表すれっきとした書画です。「一円相」「円相図」などとも呼ばれており、悟り・真理・仏性・宇宙全体を円形で象徴しているといわれています。

インテリアデザインのひとつとして、ご家庭や店舗などで使われるケースも多いようです。

一期一会(いちごいちえ)

「一期一会の気持ちで接する」「人との出会いは一期一会」といわれるように、「一生に一度限り」という意味になります。

「この出会いが生涯一度限りだと思い、目の前の相手に精一杯の誠意を尽くしなさい」といった茶道の心得を表した言葉であると共に、「そのときのことはその時にして、決して明日に延ばしたりしないように」といった意味も含まれます。

松無古今色(まつにここんのいろなし)

松無古今色とは、「松無古今色 竹有上下節」(松に古今の色なし 竹に上下の節有り)と、本来は対句を含めての禅語となります。

そのまま訳すと「松の緑は時間が経っても変化することがない」「竹には節によって上下の違いがある」となります。

松の緑が変わらないのは絶え間ない変化があるからであり、竹には節という上下の区分があるものの、同じ一本の竹に優劣はないという考えです。

つまり、「物事にはいろんな側面があり違いが存在する。その違いを受け入れることが大切である旨を表しています。

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季節ごとに飾る掛け軸

では続いて、季節に応じた4つの茶掛を紹介します。

春光日々新(しゅんこうひびあらたなり)【春】

春光日々新は、主に1月から3月頃に飾られます。

「春のやわらかな景色が日を追って変化し、毎日毎日が新しい」というのが表面上の意味ですが、「自然が新たな季節を迎えていくように毎日を新しい心に改め、古いことは過去の出来事として笑って過ごしなさい」といった解釈がなされています。

薫風自南来(くんぷうじなんらい)【夏】

薫風自南来は、初夏の5月頃に掛けられることが多い言葉です。

爽やかな風が南から吹いてくるという意味ですが、「損得や利害、あるいは愛憎も薫風によって吹き払ってしまえば、こだわりやわだかまりがなくなり、さっぱりとした清々しい涼味を感じることができる」ということ意味しています。

掬水月在手(みずをきくすればつきてにあり)【秋】

10月に飾られる掬水月在手は「手に届かない高さの月も、手の中の水に映る月であればすくうことができる」という言葉が書かれています。

そこから読み取れるのは「何もしないままでは何も得られない」、つまり行動してこそ結果を得ることができるという意味になります。

歳月不待人(さいげつひとをまたず)【冬】

12月の茶掛としてよく用いられる歳月不待人ですが、日本では「人はすぐに歳をとるのだから、二度と戻らない時間を無駄にせず、努力に励め」という戒めを含む意味に解釈されています。

しかしながら、「何もしないでいると充実した時間を味わうことなく、年老いて死んでしまうかもしれない。だからその時々に真剣に向かい合いなさい」というのが本来の意味とされています。

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茶室に飾る掛け軸なら金沢屋にお任せください!

茶掛を購入する際には、掛け軸を専門に取り扱うお店で購入するか、もしくは作成を依頼するのが一般的です。

金沢屋では、近代的なものから伝統的なものまで、ご要望に合わせた掛け軸の新調サービスを行っています。

茶室に掛ける茶掛けをはじめ、結納・結婚・正月などのお祝い事やおめでたい日に飾る「祝儀掛け」、桃の節句や端午の節句といった節句に合わせて飾られる「節句掛け」など、用途に応じて最適な商品を紹介します。

もちろん、オリジナルの掛け軸の製作も承っています。金沢屋は全国約300店舗展開しているので、日本全国どこでもすぐに駆け付けることができます。掛け軸をはじめ、襖・畳・障子など、和室のことなら何でもご相談ください。

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まとめ

今回は、茶道具においてもっとも格式が高い茶掛について紹介しました。紹介した代表的な掛け軸は全体のごく一部にしか過ぎません。もし興味のある方は色々とご自分で調べてみても良いかもしれません。

茶席ではどのような思いを込めて、どんなメッセージを客人に伝えたいのか。ご自分も楽しみながら、掛け軸を選んでみてください。