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普通の畳より薄い「薄畳」とは
畳には、和室で昔から使われているものとは違い、「薄畳」と呼ばれる薄い畳があります。近年、畳の機能性や快適さが再び注目されるようになり、手軽に設置できる薄畳のニーズが上昇中です。薄畳とはどんな畳なのか、通常の規格の畳を比較しながら紹介します。
厚さが15mm~の畳
一般的な畳の規格が55~60㎜程度の厚さに対して、薄畳は15mm~30mmほどと非常に薄い畳です。
通常の畳の規格よりも半分程度、またはそれ以上に薄い薄畳は、住宅の耐震化やバリアフリー化のために作られるようになったとされています。近年では、マンションの和室に使われることも多いです。
薄畳は通常の畳よりも薄く作られている分、強度を保つために硬めの板が使われているため、通常の畳とはクッション性や踏み心地が異なります。
置き畳としても使える畳
薄畳なら、フローリングに並べて和室のように変えることや、部屋全体でなくとも部屋の一角に置くだけで和の空間を演出できます。ラグのようにインテリアとして置くことや、キッズスペースとして設置するなど、置き畳としてさまざまな使い方が可能です。
ほかにも、高床式のユニット畳が出回っているなど、自由なデザインやサイズのものが多いのが薄畳の特徴です。
畳の素材にはい草が使われることが多く人気もありますが、薄畳では耐久性を求める方が多いことから樹脂製の方が人気があります。
薄畳のメリットやデメリット
一般の和室の畳をご存じの方は、畳が薄くなると使い勝手はどうなるのか気になる方もいるでしょう。そこで、薄畳のメリットやデメリットを説明します。
薄畳のメリット
薄畳は厚さがないため扱いやすく、さまざまなシーンで畳を活用できます。
フローリングのリフォームとして使える
フローリング材の厚みは、15mmです。リフォームで畳の部屋にする場合には、フローリング材と置き換えるだけです。置き畳であればフローリングの上にそのまま設置するだけでプチリフォームできます。
簡単に畳を取り入れられる
置き畳なら一部分だけに置くこともでき、簡単にインテリアとして畳を取り入れられます。使用しないときは片づけられるので、気分に合わせて和を取り入れることが可能です。
軽いため設置しやすい
通常の畳は1畳20~40kgあるため、設置やメンテナンスが大変です。一方、薄畳は1畳10㎏程度なので、力に自信がない人でも容易に移動や模様替えできます。
バリアフリーにできる
薄畳はバリアフリーにも向いています。通常の畳を使った和室は、畳の厚さの分フローリングよりも高くなるため、敷居で段差が発生します。
薄畳であればフローリングと同じ厚さのものもあるので、畳の部屋の床下を下げたりフローリングの床を上げたりすることなく、バリアフリーを実現できるでしょう。
薄畳のデメリット
薄畳には、薄さゆえに生じるデメリットもあります。通常の厚さの畳との違いも知っておきましょう。
硬く感じる
厚さのある畳の方がクッション性を感じられます。薄畳で座ったり寝転がったりしたときに通常の畳よりも硬さを感じる場合もあります。気になるほどではありませんが、心配な場合には事前に感触を確認しておくと良いでしょう。
また、通常の畳と同程度までクッション性を高めた薄畳も作られるようになっているので、薄畳にもクッション性を求める方は調べてみてください。
価格が高い
薄畳は、薄いからといって価格が安いわけではありません。製作に専用の芯材が必要で手間がかかるため、一般の畳に比べて同程度から2倍程度の価格になることもあります。
耐久性が低い
い草を使用した薄畳の場合、耐久性が低くなります。ただし、薄畳に適した樹脂素材のものを選べば、い草と同等かそれ以上の耐久性を期待できます。
い草のランクによっても耐久性は異なるため、い草のランクにもこだわりましょう。
ズレやすい
薄畳は通常の畳に比べて軽いため、設置した際にズレやすくなります。耐久性と同じように、ズレやすさも素材によって程度は異なります。
ズレ防止の対策として、別途で滑り止めを敷いたり、滑り止めシートを畳の四隅につけたりすることが効果的です。
薄畳のお手入れ方法と交換時期
薄畳に限らず、畳を長く快適に使うには、日頃のお手入れが大切です。ここからは、畳を長持ちさせるために必要なお手入れ方法について解説します。
畳の目に沿って掃除する
細かいごみが入りやすい畳は、目に沿ってゆっくり掃除するのが基本です。畳の目を無視して掃除をすると、畳が傷んでしまうことがあります。また、力を入れて無理にごみを取ろうとするのもおすすめしません。
畳が傷まないように、ほうきや掃除機で掃除する際には、目に沿ってゆっくりかけましょう。畳用のほうきもあります。
こまめに換気する
畳は調湿作用がありますが、湿度が高すぎると畳が吸い込んだ湿気を放出できなくなります。湿度の高い状態が続けばカビやダニが発生して畳が傷んでしまうため、部屋の湿度を下げるためにこまめな換気を行いましょう。
薄畳は扱いやすいので、長持ちさせるために普段のお手入れに加えて、定期的に換気するのがおすすめです。置き畳の場合は、掃除のときに持ち上げて干すようにしましょう。
拭き掃除は、ホコリをほうきや掃除機で取ったあと、乾拭きを行います。水拭きだと畳が水分を吸い込んでしまうので、畳にカビが発生する原因になりかねません。また、雨の日の換気は湿気を取り込んでしまい逆効果になるので注意しましょう。
汚れたときはすぐに対処する
畳は吸湿しやすいので、ジュースやお茶などの液体がこぼれた場合は、直ちに乾いた布で水分を吸い取ってください。そして、固く絞った雑巾などで優しく拭き取りましょう。
調味料など濃い色のついた液体の汚れの場合には、シミを防ぐために布で水分を吸い取ったら、小麦粉やベビーパウダーなどの粉末をかけます。そのあと、畳の目に入ってしまった粉末は歯ブラシを使ってかきだしたら、薄めたお酢を染み込ませた布で拭き取り、乾拭きしたら完了です。
汚れを取ろうとして強くこすったり押したりすると、逆に汚れが染みてしまうだけでなく、畳の傷みの原因にもなるので注意が必要です。
なお、掃除によく使用される重曹は、畳を黄色く変色させてしまうため、使用を避けましょう。残った場合には黒いシミにもなります。
重いものや敷物を置かない
畳の上に家具を置いたり絨毯を敷きっぱなしにしたりすると、湿気が溜まりやすく畳が傷む原因となります。できるだけ置かないようにしましょう。布団の敷きっぱなしも良くありません。
また、畳は重い家具を載せると凹み、ごみが溜まりやすくなります。特に脚のある家具は要注意です。
家具を置かなければならない場合には、間に耐震マットや凹み防止用のグッズなどを敷いてかかる力を分散し、できるだけダメージを軽減するようにしましょう。
薄畳の張り替え時期
通常の畳は畳表(たたみおもて)の張り替えや裏返しが可能で、5~10年で表替えや裏返しを行います。適切なメンテナンスをしていれば、畳自体はおおよそ15~20年と長期間使用可能です。
薄畳の場合は、構造上畳表を張り替えできるものとできないものがあります。張り替えできない場合は、5~6年程度で本体ごと取り替える「新調」が必要になるでしょう。張り替え可能な薄畳であれば、通常の畳ほどではないものの、長持ちさせられます。
なお、置き畳に使っているものは張り替えよりも新調が必要になることがほとんどです。
薄畳の傷みが気になった場合には、自分で判断せず襖・障子・網戸・畳の張り替え専門店である金沢屋へご相談ください。
経験豊富な職人が畳の状態を拝見し、お客さまのご要望をお聞きしながら、ベストな方法をご提案いたします。出張は無料ですので、ぜひお気軽に金沢屋までご連絡ください。
まとめ
一般の畳よりも薄い薄畳は、軽く扱いやすいため手軽に畳のスペースを作りたい方におすすめです。部屋全体に敷き込むほか、置くだけで設置できるものもあり、ラグ感覚でも使えます。フローリングを畳にリフォームして和の雰囲気を楽しみたいとお考えの方は、ぜひ薄畳を検討してみてはいかがでしょうか。