小上がり和室のメリット・デメリットとは?設置する際のポイントと費用も解説

家を建てたりリフォームしたりするときに、小上がり(こあがり)和室を作るかどうか悩む方もいるでしょう。おしゃれで便利な空間ですが、デメリットや費用も把握したうえで作るかどうかを決定したいところです。 そこで、小上がり和室を作るメリット・デメリットや設置する際のポイント、費用などについて解説します。

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小上がり和室とは

小上がり和室とは、床面から少し高さを上げた位置にある和室のことです。設置場所に決まりはありませんが、リビング内に作るのが主流となっています。

通常の和室だと、「和室感」が強すぎて家の雰囲気に合わないと感じる方もいるでしょう。しかし、小上がり和室は、和風と洋風両方の雰囲気を兼ね備えたモダンなデザインであることが多く、どのようなインテリアの家にも取り入れやすいという魅力があります。

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小上がり和室のメリット

おしゃれでモダンな小上がり和室を設置することには、以下のようなメリットがあります。

・段差の利用で収納場所が増やせる

・段差に座って椅子代わりに使える

・立体感のある空間になる

・多目的に利用できる

・リビングのゴミが入りにくい

これらのメリットについて、下記にてくわしく解説します。

段差の利用で収納場所が増やせる

小上がり和室のメリットのひとつが、段差の利用により、収納スペースを増やせることです。通常の和室や洋室の場合、収納を確保するには押入れやクローゼットを作ったり、家具を置いたりする必要があります。

押入れや家具を設置するスペースを確保した結果、「部屋が狭くなった」と感じてしまうかもしれません。

対して、小上がり和室の場合は床下の段差部分に収納スペースを作れるので、部屋が狭くなることがありません。収納方法も引き出しタイプ・跳ね上げタイプ・天面開口タイプの3種類から、使いやすいものを選択できます。

・引き出しタイプ:段差部分が箪笥(たんす)の引き出しのようになっているタイプ

・跳ね上げタイプ:畳がフタのようになっていて、畳を持ち上げると収納スペースが現れるタイプ

・天面開口タイプ:収納スペースのフタになっている畳を完全に取り外せるタイプ

段差に座って椅子代わりに使える

段差を椅子代わりとして活用できるのも、小上がり和室のメリットです。家事の合間の休憩に腰かけたり、お子様を座らせて靴下を履かせたりと、さっと座れる場所がほしいときに役立ちます。何人かで並んで腰かけられるので来客時にも便利です。

腰かけるのにちょうど良い高さなので、掘りごたつを作る人もいます。和室は好きなものの、正座や足を崩して座るのが辛いという方にぴったりです。

立体感のある空間になる

一段高い小上がり和室があることによって空間にメリハリがつき、立体的でモダンな雰囲気になるのもメリットです。

リフォームで小上がり和室を設置すれば、かなりのイメージチェンジになるでしょう。ゆったりとした癒しの空間を演出するのにも一役買います。

多目的に利用できる

小上がり和室のメリットとして、多目的に利用できることも挙げられます。たとえば布団やマットレスを敷けば、ベッドやお子様のお昼寝スペースなどとして利用できます。

洗濯物を畳んだりアイロンをかけたりする家事スペースや、お子様の遊び場としても活用できます。来客対応のための客間にしたり、テレワーク用のスペースとして使ったりするのも良いでしょう。状況に応じて使い方を変えられるため、かなり重宝します。

リビングのゴミが入りにくい

通常の和室はリビングなどの隣接する部屋と床続きなので、ゴミやホコリが侵入してくることがあります。そのため、せっかく畳があるにもかかわらず、何となく寝転がることに抵抗を覚える方もいるでしょう。

一方、小上がり和室はほかの部屋よりも床が高い位置にあり、ゴミやホコリが侵入しにくい構造なので、地べたに寝転がるような不快感を覚えずに済みます。

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小上がり和室のデメリット

収納スペースが増える、いろいろな目的で使えるなどメリットの多い小上がり和室ですが、以下のようなデメリットもあります。

・バリアフリーに向かない

・小さなお子様が落ちてけがをする

・リビングが狭く感じる

バリアフリーに向かない

段差を登るのが辛くなったり、杖や車椅子を使うことになったりと、高齢になって生活が変わると、小上がり和室が使いづらく危険な場所になる場合があります。

老後も住み続ける予定であったり、将来的に家族を自宅で介護する可能性があったりなど、家をバリアフリー化しておきたい方には、小上がり和室は不向きです。

いざというときに小上がり和室を撤去する手もありますが、その分リフォーム費用がかさむことは理解しておきましょう。

小さなお子様が落ちてけがをする

小さなお子様がいる場合も、小上がり和室の設置はじっくり検討する必要があります。まだ歩けなかったり、歩き始めたばかりだったりするお子様にとって、小上がり和室の段差は危険だからです。

寝返りを打ったとき、伝い歩きをしているときなどに、うっかり落ちてけがをするおそれがあります。どうしても小上がり和室を設置したいなら、通常よりも段差を低くするなど工夫しましょう。

リビングが狭く感じる

リビング続きのウッドデッキやベランダがあると部屋が広く見えることからわかるとおり、床がフラットなほうが本来の面積より広く感じます。

そのため、小上がり和室を作ると、リビングの面積や小上がり和室の設置位置によっては部屋が狭く見えてしまう点にも注意が必要です。広々と開放的な部屋が好みの方には、小上がり和室は向かないでしょう。

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小上がり和室を設置する際のポイント

小上がり和室を作ることは決めているものの、広さや高さをどうすべきか悩んでいる方もいるでしょう。

そこで、おすすめの広さや高さなど、小上がり和室を設置する際に押さえておきたいポイントを具体的に紹介します。

広さ:3〜4.5畳

小上がり和室の広さは、3~4.5畳くらいにするのが一般的です。3畳よりも狭いと圧迫感が出やすいうえに、用途も限られてしまいます。

反対に6畳以上など広めにしたい場合は、普通の和室にしたほうが使いやすいかもしれません。リビングとのバランスや使用目的から、最適な広さを考えてみましょう。

高さ:30〜40センチメートル

小上がり和室は収納や椅子代わりとして使うことが多いので、立ち座りがしやすく収納としても使いやすい30~40センチメートル程度の高さにするのがおすすめです。

ただし、高齢者や小さなお子様がいる場合は低めのほうが良いので、家族構成や使用目的などを考慮して高さを決めましょう。

間仕切りの有無

間仕切りの有無は、小上がり和室の使用目的によって決めましょう。たとえばお子様の遊び場などとして使う場合は、間仕切りなしのほうが様子がわかりやすく、開放感も得られます。

客間や寝室、テレワーク用の仕事部屋などとして使いたいなら、間仕切りや引き戸を設置したほうが良いでしょう。その時々で使い分けたいなら、ロールスクリーンにする手もあります。

畳の種類

小上がり和室に敷く畳として人気があるのは、縁なしの琉球畳です。しかし、琉球畳は普通の畳よりも価格が高くなります。

また、畳表(たたみおもて)の素材が、い草・和紙・化学繊維のどれかによっても価格が変わってくるので、予算と照らし合わせつつ選びましょう。

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小上がり和室を設置する費用相場

小上がり和室を設置する場合の費用相場の目安は、以下のとおりです。

・広さ3畳・畳あり・収納なしの場合:15万円~

・広さ4.5畳・畳あり・収納なしの場合:20万円~

収納つきにするとこれよりも費用が高くなり、工期も長くなります。収納ありで費用を抑えて工期も短縮したいなら、ユニットタイプを選んだほうが良いでしょう。

小上がり和室の設置とともにリビングをリノベーションするなど大掛かりな工事になると、90万円前後の費用がかかります。

このように、小上がり和室の設置費用は広さや収納の有無、畳の種類などで大きく異なります。また、工事を担当する業者によっても金額が変わるので、事前に見積もりを取ることが大切です。

まとめ

おしゃれで便利な小上がり和室ですが、家族の年齢や好みによっては設置しないほうが良いこともあります。メリットとデメリットの両方を把握したうえで、設置するかどうかを決定しましょう。

すでに設置することを決めている場合は、家族構成や使用目的などを踏まえて最適な面積や高さを考えてみてください。面積や収納の有無などで設置費用が大きく変わるため、希望を明確にしたうえで見積もりを取ることも重要です。