開き戸を引き戸にリフォームするには?引き戸の種類や費用相場を解説

暮らしの質を左右するとも言われる室内ドア。特に自宅で親の介護や子育てをしているご家庭では、開き戸を引き戸へリフォームすることで高齢者や小さな子どもに目が届きやすくなり、生活の快適性と安全性が高まるといわれています。 しかし、リフォームしたいと思いながらも「引き戸のメリット・デメリットが整理できていない」「リフォームしたときの費用相場が分からない」とお悩みの方も多いのではないでしょうか。 今回は、開き戸を引き戸にリフォームする際に気を付けるべきポイントを解説します。引き戸の種類の整理やリフォーム時の費用相場も紹介しますので参考にしてみてください。

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開き戸と引き戸の違い

室内の戸は、引き戸タイプと開き戸タイプの2種類に分類されます。

開き戸

引き戸

前後に押したり引いたりして開閉する(蝶番)

左右にスライドさせて開閉する

設置するには戸を開く方向の空間が必要

設置位置の左右どちらかに戸1枚分の余裕が必要

室内ドアとして最も一般的なのは開き戸です。しかし、近年は省スペースで設置できる点と高齢者や車いすユーザーでも使いやすいことから、引き戸を採用する住宅が増えてきています。

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引き戸の種類と設置方法

引き戸は片引き戸、引き分け戸(両開き戸)、引き違い戸、引き込み戸の4種類に分類されます。また引き戸の設置方法は、床面で戸を支える「レールタイプ」と天井から吊るすような「上吊りタイプ」の2つがあります。

最近の引き戸は、デザインや素材のバリエーションが豊富です。設置場所や用途に合わせた、インテリア性の高い引き戸を選びやすくなっています。

片引き戸

片引き戸は、扉を左右どちらかにスライドさせて開閉するタイプです。引き戸の中でも施工のしやすさが特徴です。設置のためには壁側に戸を収納するスペースが必要となります。

壁の内側に戸を収納する必要がないので、壁側に戸を収納するスペースさえ確保できれば基本的に設置できると考えて問題ありません。

引き分け戸(両開き戸)

引き分け戸とは、1本のレール上にある2枚扉をそれぞれ左右に開閉するタイプの引き戸です。レールが1本だけのため、引き戸を重ねて閉じたりスライドさせたりすることはできません。しかし、両サイドに引き戸をスライドさせれば、隣の部屋と繋がって開放感のある空間を作り出せます。

普段は間仕切りとして活用し、来客時は引き戸を開けて隣の部屋と繋げて大部屋として使うなど、可変的な使い方ができます。

引き違い戸

引き違い戸とは、障子のように連続した複数の扉で構成されていて、左右どちらにでも開閉できるタイプの引き戸です。引き違い戸はレールが2本あるため、引き戸を重ねて閉じたりスライドさせたりできます。

左右どちらからも行き来ができるため、戸の両側の壁が使えて、動線も確保しやすくなる特徴があります。

引き込み戸

引き込み戸は、扉を開けたときに戸が壁の内部(戸袋)に収納されるタイプです。壁の内部に戸が収納されるため、室内のスペースを広く使える特徴があります。

戸を開けたときは引き戸が見えなくなり、室内がすっきりとした印象になるので、シンプルなインテリアが好みの方におすすめです。

設置方法は2つ

・レールタイプ
レールタイプとは、壁の上部と床にレールを設置して引き戸をスライドさせる方法です。最も一般的な設置方法で多くの引き戸に採用されています。

・上吊りタイプ
上吊りタイプは、天井にレールを設置して引き戸をスライドさせます。床にレールがないことにより床の段差でつまずく心配がないため、高齢者や小さな子どもにとっては安心でしょう。

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開き戸を引き戸に変えるメリット

ここからは、開き戸を引き戸へ変えることで、生活を送る中でどのようなメリットがあるのかについて解説していきます。

部屋を広く使える

開き戸を引き戸に変えることにより、スペースを最大限に有効活用して、広々とした部屋を実現できます。開き戸の場合に必要な、ドアを開けるスペースが不要なため、その分部屋を広く使えます。

また、引き戸であれば扉の開閉が人の動線に影響を与えないため、室内を移動する際に扉が邪魔になったり、ドアノブに引っかかったりする心配がありません。

安心・安全に使える

引き戸は、安全性と利便性の両方で開き戸より優れています。例えば、車椅子を使用する場合、開き戸に比べて引き戸はスムーズに操作できるため、利用者の移動ストレスを軽減してくれるのです。

また、子どもが勝手に外に出ることが心配な方には、チャイルドロックが付いた引き戸もあります。

開放感が出る

引き戸を全開にすることで部屋や玄関スペースが広くなり開放感が出ます。開けっ放しにしておけば家の中の風通しが良くなるでしょう。勉強や仕事に集中したいときは引き戸を閉めるなど、目的に応じて部屋を自由にレイアウトできます。

開き戸の場合、全開にするとドアが邪魔になることがありますが、引き戸は壁に収納できるため、もともと扉がなかったかのように隣の空間と繋げられる点がメリットです。

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開き戸を引き戸に変えるデメリット

多くのメリットを持つ引き戸にも、押さえておくべきデメリットが存在します。リフォーム後に「こんなはずではなかった」と後悔しないためにも、しっかり引き戸のデメリットも確認していきましょう。

ドアを引き込むスペースが必要

引き戸を設置するためには、扉を引き込むスペースが必要です。そのため、部屋の形状や構造上、扉を引き込むスペースを確保できなければ施工が難しい場合があります。

気密性・防音性が低い

引き戸は開き戸に比べて、気密性と防音性が低いといわれています。気密性が低いとエアコンの効きが悪くなり、冬は寒く夏は暑くなり室内の快適性が損なわれるおそれがあります。また、防音性や遮音性が低いと、ほかの部屋からの音が気になったり、プライバシーが守れなくなったりする懸念があります。さらに、開き戸に比べると開閉時に音が発生しやすい点も踏まえましょう。

一般的な引き戸に比べて価格は高くはなりますが、最近は気密性が高い引き戸が販売されているので、室内の快適性が気になる方は検討してみても良いかもしれません。

掃除に手間がかかる場合がある

引き戸の設置に必要なレールの溝にホコリが溜まりやすく、多少なりとも掃除に手間がかかることを頭に入れておきましょう。レールにホコリが溜まった状態では、引き戸の開閉がしにくくなるため、定期的な掃除が必要になります。

段差や隙間のホコリは取りにくく、掃除の手間が大変と感じることもあるかもしれません。

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引き戸が適している部屋とは

引き戸のメリット・デメリットを考慮したうえで、引き戸の採用が適した場所を確認していきましょう。

リビング・キッチン

人の出入りが多いリビングやキッチンは引き戸がフィットしやすい環境です。引き戸であれば、扉としてだけでなく、間仕切りとしても使用できます。その時々によって、リビングと隣接する部屋と合わせて一つの大きな空間として使ったり、完全に閉めて区切ったりと目的に合わせて使える利便性があります。

和室

畳が持っている温湿度調整機能を高めるために、換気はとても重要です。扉を開けたままにしやすい引き戸であれば、容易に換気できる利点があります。

また、障子や襖も引き戸なので、相性の良さという意味でも和室には引き戸が適しています。

子供部屋

子ども部屋にも引き戸は適しています。戸を開いたままにしておいても邪魔にならず、子どもの安全に目を配れます。

バリアフリーに対応させたい玄関・トイレなど

高齢者と同居している場合や、将来のためにバリアフリー対応にしたいという場合は、引き戸は良い選択肢になります。引き戸であれば車いすに乗ったままでも開閉しやすく、握力が低下した場合でも使いやすくなります。

使用頻度の高い玄関やトイレなどを引き戸にすると、生活の快適度が向上するでしょう。

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開き戸を引き戸にリフォームする費用相場

ここでは、設置場所別に開き戸を引き戸にリフォームするときの一般的な費用相場を紹介します。

・室内ドアやクローゼットの扉を引き戸に交換する場合
室内ドアやクローゼットの扉を引き戸に交換する場合の費用は、選ぶ引き戸の種類によっても変わりますが、おおよそ10万円以内です。ただし、バリアフリータイプの場合は、約20〜50万円と高額になることもあります。

・開き戸や扉を引き戸に交換する場合
開き戸や扉を引き戸に交換する場合の費用は、一般的に約20〜30万円です。開き戸や扉を引き戸に交換するリフォームは、バリアフリータイプを選ぶ方が多い傾向にあります。

・玄関扉を引き戸に交換する場合
玄関扉を引き戸に交換する場合の費用は、約30〜40万円です。玄関は防犯面を考慮して頑丈に作られるため一般の引き戸よりも価格が高くなります。

なお、適切なリフォーム金額を把握するためには、複数の業者から見積もりを取ることが重要です。リフォームを検討する際は、必ず複数の業者を比較しましょう。

まとめ

今回は、開き戸を引き戸にリフォームする際に気を付けるべきポイントを解説しました。引き戸にはいくつも種類があり、設置する場所に適したものを選ぶことが重要です。業者を選ぶ際には、親身に相談に乗ってくれるかという点を重視し、信頼できるリフォーム業者に依頼しましょう。

また、リフォームにかかる費用は設置場所によって変わるのはもちろんですが、リフォーム業者によっても変わります。必ず複数社から相見積もりを取り、適正価格かどうかを判断するようにしましょう。