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仏間と床の間の違い
仏間と床の間は一見するとよく似ていて、同じものなのではないかと思ってしまう人もいるかもしれません。まずは仏間と床の間の違いを確認しましょう。
仏間
仏間は和室の一角に設けられた仏壇や位牌を設置するためのスペースです。先祖の霊を祀っている場所であるため、重要な空間として位置づけられています。
冠婚葬祭のときには、親戚の人などが自宅を訪れて仏壇に線香を上げることもあるでしょう。そのため仏間を設置する和室は玄関に近い位置にあることが多く、仏間は和室の入口付近に設置されます。
先祖の霊が祀られているため環境も大事です。たとえば、湿気が溜まりやすい場所や直射日光が当たりやすい場所は、仏間にはあまり適さないでしょう。風通しが良く、静かで居心地の良い場所が適しています。
また、仏間の上部には設置物を作らず、上階部分もなるべく人が通らない場所が望ましいです。
床の間
床の間は、和室の中にある一段高くなっているスペースのことです。主に掛け軸や花などを飾る場所として使用されています。壺などを置いている家もあるでしょう。
すべての和室に床の間が設けられているわけではありません。主に客間として使用する和室には床の間が設けられていることが多いです。高価なものを飾ることから、財力や威厳を示す役割も果たしています。
床の間は神聖な場所ではあるものの、仏間とは役割が異なります。ただし、床の間に仏壇を置くのは決して悪いことではありません。神聖な床の間に仏壇を置くことで、ご先祖様に敬意を払うことにもつながります。
特に仏間がなくて床の間ならあるような場合には、床の間に仏間を置くのが望ましいといえるでしょう。
リフォームで仏間を設置する方法
仏間がない場合に、リフォームで仏間を設置する方法について見ていきましょう。
床の間を仏間にする
家に床の間があって費用もかけたくないという場合には、特に何もせず仏壇を設置しても問題ありません。
しかし、床の間の構造はもともと仏壇を設置することを想定していない構造のため、そのまま設置するのが難しい場合もあります。飾り棚が邪魔になることもあるでしょう。
そのため飾り棚を撤去して仏壇を置くスペースを作るリフォームが必要となります。二段床になっている場合や畳が敷かれている場合には、それらも撤去しなければなりません。
押入れを仏間にする
自宅の和室に床の間がない場合、収納として使用していない押入れを仏間にリフォームする方法もあります。
とはいえ、押入れに空きスペースがまったくないケースもあるかもしれません。その場合には不要なものを整理するなどして、押入れを空けられないかどうか検討してみましょう。
しかし、押入れには中板があるため大きな仏壇は入らないことも珍しくありません。そのため、押入れを仏間にリフォームする際には襖と中板を外します。もともとの押入れの広さにもよりますが、中板を外せばたいていの仏壇は入るようになるでしょう。
そして壁や天井にクロスや化粧板を貼ると仏間らしくします。照明器具を使うためのコンセントの設置も必要です。
また、押入れ全体を仏間にするとスペースが余る場合もあるかもしれません。そのようなときには、押入れの右半分か左半分のみを仏間にするやり方なども可能です。
和室全体をリフォームする
仏間がない和室をリフォームして仏間にするなら、その和室全体を和モダンな雰囲気になるようにリフォームするのが良いでしょう。
仏間がある部屋は、どうしても古い印象を与えてしまいがちです。仏壇を置くだけで普段はあまり使わない部屋になってしまうかもしれません。和モダンにすることで、そのような古い印象が取り払われて、いつまでも大切に過ごせる部屋になるでしょう。
また、床の間や押入れにスペースがない場合でも、和室の一角に仏間を作ることが可能です。
いずれの場合にも仏間を設置するだけのリフォームと比べれば、工事が大掛かりで費用も高くなります。そのうえ畳を張り替える必要も出てくるでしょう。畳の張り替え時期を迎えている場合には、ちょうど良いかもしれません。
畳の張り替え費用についてはこちらの記事をご覧ください。
【早見表あり】畳の張り替え費用を紹介!安くするポイントとは?
リフォームで仏間を設置する際の費用相場
リフォームで仏間を設置する際にかかる費用は、床の間を仏間にするなら3万~10万円程度が相場です。簡単なリフォームであるため、それほど多くの費用はかかりません。
ただし、床の間の種類によってはリフォーム工程が違うため費用に差がつきます。例えば飾り棚が造りつけられている床の間であれば、撤去してスペースを作るだけなのでそこまで費用はかさみません。
一方で床の間が二段床の場合や畳が敷いてある床畳の場合は、床板を張り替える作業が追加されるため費用は高くなります。
押入れを改装して仏間にする際にかかる費用は、15万~25万円程度が相場です。床の間をリフォームするよりも、壁や天井を張り替えたり照明用のコンセントをつけたりといった工程が多くなるため、その分費用もかかります。
また、押入れをリフォームする場合、仏壇の大きさに合わせてスペースを作ります。そのため、リフォームにかかる費用は仏壇の大きさに比例すると考えて良いでしょう。
仏間を使用しない場合もリフォーム可能
家に仏間を作りたい人だけでなく、逆に仏間が不要になってしまったという人もいるでしょう。その場合は、不要になった仏間をリフォームして、スペースを有効活用することもできます。
ここでは使用していない仏間の主なリフォーム方法を紹介します。
収納スペースにリフォームする
仏間のスペースを押入れや棚としてリフォームすれば、収納スペースとして活用できます。リフォーム方法は、引き戸や仕切りなどを設置するだけであり、仏間を作るよりも簡単です。
仏壇を置けるくらいのスペースであるため、多くの物を収納できるようになり室内もスッキリと片付きます。
引き戸や仕切りはデザインにこだわった作りにしてみるのも良いでしょう。使用していなかった仏間のスペースが、おしゃれな収納棚に生まれ変わります。
簡易的な書斎にリフォームする
仏間が広い場合には、簡易的な書斎にもリフォームできます。1畳程度の広さがあれば、デスクを設置して作業をしたり本を読んだりできるでしょう。職場でテレワークを導入している場合などには、仕事をするスペースとして使えます。
コンセントを設置すればデスクライトなども使えて便利です。ただ、コンセントを設置するとなれば、費用がかかってしまいます。そのため延長コードや電源タップなどを使用して、室内のコンセントから電源を持ってくるのも良いでしょう。
まとめ
置き場所に困る仏壇も、和室にある床の間や押入れなどを仏間にリフォームすることで設置できるようになります。
床の間にそのまま仏壇を置いても問題ありません。飾り棚などがある場合には、撤去するのも良いでしょう。押入れならリフォームで壁や天井を張り替えることで仏間を作ることができます。
いずれも比較的簡単な工事であるため、費用もそれほど多くはかかりません。仏間が必要なら、和室をリフォームして設置することも検討してみましょう。