「紙魚(シミ)」の生態
「紙魚(シミ)」とは、体長8~10mm前後の夜行性の害虫です。「魚」という漢字が入っていますが、魚類ではなく昆虫の一種であり、魚に似た形であることから「紙魚」と名前がついたといわれています。
銀色の光沢があるため、シルバーフィッシュや雲母虫(きららむし)などのおしゃれな別名もついていますが、実物を不快と感じる人も少なくありません。
さらに障子紙や書籍などの紙類が被害を受けることもあるので、見かけたらできるだけ早めに退治したいところです。より効果的な退治方法を考えるためにも、紙魚の生態を理解しておきましょう。
「高温多湿」な場所に生息する
紙魚は押し入れやトイレなどの、気温20度以上、湿度70%以上の高温多湿な場所を好む昆虫です。気温が低い時期でも、暖房をつけていて室内が暖かければ、紙魚を見かけることがあるでしょう。
高温多湿のバスルームにも出てくることがありますが、少量の水で溺死してしまいます。
紙類を好んで食べる
紙魚は幼虫・成虫のどちらも紙類を好んで食べるのが特徴です。紙魚を見かけたら、障子紙や書籍、掛け軸、段ボールなどの紙類が被害を受けていないかをチェックしてみてください。
穴が開くほどの被害が出ることはありませんが、紙の表面がボロボロになるため困る人も多いでしょう。人を噛んだり刺したりと、人体に影響を及ぼすことはありません。
生命力が非常に強い
紙魚は1センチメートル程度の小さな体でありながら、生命力が非常に強いのも特徴です。通常であれば7~8年、飢餓状態でも1年以上生きるといわれています。
繁殖力も強く、放置すると大繁殖することもあるため、紙魚を見かけたら早めに対策・駆除することが大切です。
障子紙を食べる「紙魚」の駆除方法
紙魚を駆除する方法は、大きく3つあります。その方法をご紹介する前に、まずは紙魚の生態について少し知っておきましょう。
ホウ酸団子を使う
1つ目は、「ホウ酸団子」を使う方法です。ホウ酸団子をエサと間違えて虫に食べさせれば、ホウ酸の毒で駆除することができます。
ホウ酸団子は薬局で購入できるホウ酸と、ジャガイモ・小麦粉・砂糖・食用油で作れます。作り方も、すったジャガイモとすべての材料を混ぜこねて、団子状に丸めて天日干しするだけと簡単です。
こうして作ったホウ酸団子を置いておけば、最大半年ほど効果が持ちます。設置した後は場所をしっかり記録しておき、ある程度の期間が経ったら捨てるようにしましょう。
注意すべきなのは、ホウ酸は人間にも有毒である点です。乳幼児では5グラムが致死量とされており、幼児やペットが口にすると大変危険です。小さいお子さんやペットがいる家庭では、ホウ酸団子を使った駆除はおすすめできません。
殺虫スプレーを使う
ドラッグストアで手に入るスプレー式の殺虫剤を使う方法です。家庭内の害虫をすぐにでも駆除したい場合には、非常に有効な手段になります。
害虫に有効な成分は、ピレスロイド系の「シフェノトリン」や「イミプロトリン」などです。殺虫剤を購入する際は、これらの成分表示があるか確認しましょう。「効果のある虫」が書いてある商品なら、紙魚が含まれているものを選んでもOKです。
充満型の殺虫剤を使う
バルサンなどの、室内に充満するタイプの殺虫剤を使う方法です。紙魚には火を使わない「エアゾール系」の殺虫剤が特に有効ですが、床面に薬剤が付着してしまうのが欠点です。充満殺虫剤を使用する前には、使用方法をよく確認しましょう。
ふかしたじゃがいもを使う
子どもやペットがいるご家庭などで、ホウ酸団子や殺虫剤を使うのに抵抗がある場合は、ふかしたじゃがいもを使うと良いでしょう。
紙魚はタンパク質やでんぷんが好物です。そのため、ペースト状にしたふかしたじゃがいもを紙皿などに置き、紙魚が出てくる場所に設置しておくと、どんどんじゃがいもに集まってきます。
そうして集まってきた紙魚を紙皿ごと捨てれば、紙魚の駆除が完了です。ふかしたじゃがいもは2日ほどで腐ってしまうので、長期間放置しないようにしましょう。
今日から紙魚対策!発生予防に役立つ5つの方法
上で紹介したのは紙魚を駆除する方法ですが、紙魚を障子に寄せ付けない方法もあります。ここでは、紙魚の対策になる方法を2つご紹介します。
ハーブ系のアロマを使う
紙魚は臭いに非常に敏感で、苦手な臭いのする場所から離れていく特徴があります。
最も効果的なのは「ラベンダー」の香り
紙魚が苦手な臭いはハーブの香りで、特にラベンダーの香りを嫌います。ラベンダーのアロマを焚いたり、アロマオイルを染み込ませた紙を置いたりしている場所には、紙魚が近づかなくなります。
ラベンダーのアロマオイルを2、3滴コットンに染みこませて、紙魚の発生しそうな場所に置いておくのも良いでしょう。
紙やコットンが邪魔になる場合は、ラベンダーの香りの消臭スプレーを室内に散布したり、ラベンダーの香りのルームフレグランスを設置したりするのがおすすめです。
そのほかのアロマオイル(精油)でもOK
紙魚がとくに嫌うのはラベンダーの香りですが、そのほかのアロマオイルでも効果があります。
・ペパーミント
・ローズゼラニウム
・レモングラス
・タンジー
・ローズマリー
・スギ
・ゼラニウム
・ヒノキ
・ユーカリ
上記のようなハーブ系、メントール系、レモン系の香りのものが効果的です。
これらの香りのアロマオイルは、紙魚以外の害虫予防にも役立ちます。日替わりやその日の気分でアロマオイルを変えるのも良いでしょう。
壁や床などの隙間をふさぐ
紙魚は非常に小さな体をもつ害虫です。そのため壁と壁のすき間や壁のひび割れ、玄関や窓のすき間なども立派な通り道になってしまいます。逆に言えば、こうしたすき間を埋めてしまえば紙魚の侵入口がなくなり、紙魚を別の場所へ移動させることができます。
すき間をふさぐには、補修テープやパテなどが有効です。ただし、すき間をすべてふさぐのは現実的ではないため、アロマなどと併用して対策するのがおすすめです。また、ひび割れがひどい場合は業者に相談するのも一つの手段です。
紙類は定期的に処分する
紙魚は紙類に寄って来ます。古い書類や手紙、段ボールなど、不要な紙類は定期的に処分して、溜め込まないようにしましょう。
読まなくなった書籍や新聞紙なども、いつまでも置いておかずに処分することが大切です。処分できない紙類は、湿気が溜まらないように虫干ししましょう。
ただし、紙類を処分しても、すでに室内に侵入している紙魚は駆除できません。紙類を処分したうえで、殺虫剤やじゃがいもなどを使って、室内の紙魚を駆除してください。
部屋の湿度を調整する
紙魚は水を飲まない代わり、空気中の水分を取り込んで生きています。そのため乾燥に非常に弱く、湿度43%以下では動きが鈍くなる特徴を持っています。
エアコンや除湿器を使って部屋の湿度を下げることで、紙魚の発生は防げます。おおよそ湿度40~50%を保てば、紙魚の活動をある程度防げるでしょう。
しかし、人間も湿度40%以下の環境では、風邪をひきやすくなるなどの健康被害が出てしまいます。害虫対策は人間が快適に過ごすためのものなので、湿度の下げすぎには注意しましょう。
部屋を掃除してキレイに保つ
部屋をこまめに掃除してキレイに保つことも、紙魚の発生防止に有効です。紙魚は紙に集まりますが、髪の毛やフケなども紙魚の栄養源になります。部屋をキレイに掃除して紙魚の栄養源を除去し、紙魚が住みにくい環境を作りましょう。
押し入れやクローゼットのなか、タンスの裏側なども湿気やホコリが溜まりやすいため、定期的に掃除する必要があります。窓を開けたり除湿機を使ったりして、室内を換気することも重要です。
食べられてしまった障子は張り替えを検討しましょう
紙魚の駆除や対策をしても、一度食べられてしまった障子は元に戻りません。小さな穴が開いた程度なら、自力で補修できる可能性があります。障子の穴をふさぐ方法については、下記の記事を参考にしてみてください。
しかし、自力で補修しようとすると、シワになったりたるんだりする可能性があります。補修用シールが悪目立ちすることもあるので、キレイな状態に戻したい、穴がたくさん開いていて補修しきれないといった場合は、障子の張り替えを検討しましょう。
障子の張り替えなら、襖・障子・網戸・畳の張替え専門店「金沢屋」がおすすめです。
金沢屋では、紙魚の被害に遭われた障子の張り替え・新調にも対応いたします。張り替えの前に障子を十分に洗浄・乾燥させているため、紙魚対策も万全です。加えて、紙魚に食べられても長持ちする厚手の障子紙や、プラスチック強化紙への張り替えも承っております。
また金沢屋は、全国で300店舗以上展開しております。全国から寄せられるお問い合わせにも、職人がすぐに駆け付け、対応することができます。
障子紙の張り替え以外にも、畳の表替え、襖の張り替え、新調、掛け軸など、和室に関するお悩み・ご相談を承っております。和室のお悩みがありましたら、ぜひ「金沢屋」までお問い合わせください。
まとめ
紙魚とは障子紙などの紙を食べる害虫です。放置していると障子紙や書籍が食べられてしまうため、駆除や対策をする必要があります。
駆除するには、ホウ酸団子・殺虫スプレー・充満タイプの殺虫剤を使うなどがあります。紙魚を寄せ付けない対策としては、ハーブを焚く・すき間をふさぐのが効果的です。
一度食べられてしまった障子紙は、駆除と対策を万全にしてから張り替える必要があります。紙魚の被害に遭われた方は、ご紹介した駆除方法・対策法を行いつつ、毎日の掃除と湿度調整を欠かさないようにしましょう。