掛け軸の表装の種類を知りたい!基本知識を徹底紹介

掛け軸とは、しかるべき装飾を施し、床の間などに飾れるようにした書や絵画を指します。そして、掛け軸を仕立てる伝統技術は「表装」と呼ばれています。 表装を直したい方や、新しい掛け軸を買う前に掛け軸について詳しく知りたい方はぜひ参考にしてください。

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掛け軸の表装とは

表装とは、書や絵画を掛け軸に仕立てる技術のことです。具体的には、書画を紙や布で裏打ちして補強し、それにふさわしい装飾を行うこと。また、表装という言葉は掛け軸だけでなく、額や屏風を仕立てるときにも使われます。

表装を施す目的は、「見た目を美しくする」だけではありません。しわが寄らずに色艶を保つ状態にする目的もあります。

書画はそのまま放置すると、墨の水分によって紙が寄り、しわができてしまいます。そのため、表装を施して保管状態を良くします。

書画の価値を損なわず、美しく飾り立てる表装は、人の琴線に触れる素晴らしい伝統産業です。

一昔前までは、表装は専門の職人が行う伝統技術でした。しかし、現在は機械による表装も普及しています。おかげで依頼料を安く抑えることができました。

一方、機械が表装する「機械表装」もあります。伝統的な表装と比べると、精度は落ちてしまいます。業者に依頼をする際は、職人が行う「伝統表装」と、機械で行う「機械表装」のどちらの方法が使われるのかを確認してから依頼しましょう。

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掛け軸の表装の種類

掛け軸の表装には、いくつかの様式・種類が存在します。ここでは、そんな表装の種類について解説していきます。

丸表装

丸表装(まるひょうそう)は、表装の中で最も一般的な様式です。ほかにも、見切り表装、文人表装、袋表装という呼び方もあり表装のなかでは比較的安価なものになっています。

丸表装は書画の周りが一種類の裂地(きれじ)と呼ばれる布で覆われているのが特徴です。デザインは簡素ですが、そのぶん書画を引き立たせる効果があります。

もとは中国で使われていた技法なので、漢文や南画などにはこの技法が使われます。

二段表装

二段表装(にだんひょうそう)は、一文字がない様式の表装です。軸の上から垂れ下がる風帯がないため、書画をシンプルに見せたいときに効果的です。

外側(天)に無地、内側(中廻し)に柄物の裂地を使うのが一般的です。中には裂地の種類ではなく、筋によって二段に分けられたものもあります。

三段表装

三段表装(さんだんひょうそう)は豪華な見た目が特徴の、最も人気が高い様式です。丸表装の上下を無地の裂地で分け、風帯を上から垂らした構造をしています。

風帯が垂れ下がったものは「垂れ風帯」、貼りついているものは「貼り風帯」と呼びます。このうち垂れ風帯の方が本式であり、対して貼り風帯を使うのは略式と呼ばれます。

筋割表装

丸表装に細い筋が入った表装が、「筋割表装(すじわりひょうそう)」です。風帯の代わりに、裂地に細い筋が貼り付けられています。

同じ筋割表装の中でも、筋が一本のものを筋風帯、二本のものを筋割風帯と呼ばれています。

茶掛け

茶掛け(ちゃがけ)はもともと、茶席で使うことを目的とした表装です。書画の両脇の柱が3センチメートル未満となっており、ほか表装よりも幾分細い作りになっています。デザイン上、寺院僧侶の一行書が主に掛けられます。

作品が小さいものや横長の物もまとめて茶掛けとよばれます。

仏表装

仏表装は掛け軸の表装の中でも、最も格式高い様式です。御朱印譜や仏画などに限り用いられます。

様式は丸表装に近いですが、金襴緞子という高価な織物を使用しているため非常に豪華な見た目です。書画を天地と柱、内廻の二重で覆う構造になっています。

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掛け軸の部位ごとの名称

この項目では、掛け軸の部位の名称をご紹介します。

表装にまつわる部位の名称

表装に関わる部位にはそれぞれ名前がついています。どれも掛け軸の価値を決めるに欠かせない重要な部分です。

本紙

書画そのもののことを指します。本紙の形が縦長の掛け軸は「竪物」、横長のものは「横物(横幅)」と呼ばれます。

また、本紙の材質は絹本、絖(ぬめ)本、紙本の3種類があります。絹本は絹、つまり生糸で平織りのものを指し、絖本は練糸で平織のものをいいます。

天地

上下ともいう、本紙の上下にある裂地の部分のことです。天地には、比較的渋めの緞子などが使われます。また、柱の部分に天地をつなげてまわしたものを総縁とよびます。

柱は、本紙を囲む左右の部分のことです。この内側にある裂地を中廻し(中縁)とよび、一文字に次いで上質な裂地が使われます。

本紙の周りを囲む、細い裂地のことです。筋が本紙を一周囲んでいる場合は、「筋返し」と呼ばれます。

一文字

本紙の上下に付けられた、横長で幅の狭い裂地のことです。一文字には通常、錦などの上等な裂地が使われます。

風帯

掛け軸の上部から垂れ下がっている、2本の細い裂地のことです。もともとは部屋に入ってくるツバメを追い払うためのものです。そこから驚燕(きょうえん)とも呼ばれています。現在では役目が変わり、掛け軸に虫が止まるのを防いでいます。

風帯には一文字と同じく、最上等の裂地を使います。また風帯は中国の掛け軸にはみられないため、日本独自の美意識に基づくものだと考えられています。

掛け軸本体の部位の名称

ここからは、掛け軸本体の部位の名称を紹介します。

掛け緒

掛け軸を床の間に飾る際、フックに掛けるための紐です。飾るときは矢筈(やはず)と呼ばれる棒に掛け、ある程度掛け軸を広げた状態で掛けられます。矢筈を使わないと掛け緒が傷みやすいため、掛ける際には必ず矢筈を使いましょう。

巻き緒

巻き緒は、掛け軸を丸めて片づける際に巻いて結ぶための紐です。掛け軸上部についており、飾っている間は後ろに垂らしておきます。

軸木

掛け軸を巻くとき、芯の役割をする木材です。主に杉材が使われていますが、中には内側に鉛を入れたものもあります。

また軸木は、掛ける際の重しを兼ねています。軸先には風鎮(ふうちん)というおもりをぶら下げて使うことも可能です。

表木(八双)

掛け軸本体の上部についている木の棒のことです。横から見ると半円形をしているため、半月とも呼ばれます。

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掛け軸を新調するならプロに相談

掛け軸の価値は、書画だけでは決まりません。書画にふさわしい表装と相まって、初めて芸術的な価値があります。

仮にお持ちの掛け軸が傷んだり壊れたりしていても、修繕によってかつての美しさを取り戻せる可能性は十分にあります。また、自作の絵や書を使って、掛け軸を新調することもできます。

表装の張り替えは素人でもできないわけではありませんが、専門の業者に依頼するのが安全です。

掛け軸の表装の張替えや新調は、ぜひ「金沢屋」にご依頼ください。

金沢屋は、全国に300店舗を展開する襖・障子・網戸・畳の張替え専門店です。お電話をいただくだけで、日本全国どこでも査定・修繕に伺います。また掛け軸の他にも襖や障子、畳など、和室のことならなんでもご相談いただけます。

和室のお悩み・ご相談は、「金沢屋」にお任せください。皆様に楽しく豊かな暮らしを提供できるよう、ご要望に合ったサービスをご案内いたします。

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まとめ

掛け軸の表装とは、書画の装飾と長期保管を目的とした仕立ての技術です。

表装には様々な様式があり、お手持ちの掛け軸によって仕立ての種類が異なってきます。

表装の張替えは素人でもできますが、下手に価値を損なわないためにも、プロの手腕にゆだねるのがおすすめです。