目次
床の間の掛け軸とは
掛け軸と一口にいっても、風景画や季節に合わせたもの、文字や漢詩が書かれたものなど様々な種類が存在します。床の間に飾る掛け軸は基本的に自由に選んで良いのですが、せっかくなら季節や雰囲気、行事に合わせたものを選びましょう。
ここでは、床の間と掛け軸の知識を紹介します。
床の間の掛け軸の意味
掛け軸はもともと、中国から伝わったものです。当時の掛け軸は単なる芸術品ではなく、掛けて拝むものとして使われていました。また、昔は和室には必ず床の間がありました。当時は掛け軸などの絵画や花を飾るのが一般的です。そのため昔は、床の間に仏様が描かれた掛け軸を飾ることが多かったようです。
しかし、時代の経過とともに、掛け軸は鑑賞して楽しむ文化に変わりました。現代では、掛け軸は部屋のコンセプトやポリシー、おもてなしの精神を表すものとして飾られています。
床の間の掛け軸のサイズ
掛け軸のサイズはいくつかの種類があり、床の間に合ったものを選ぶのが一般的です。
標準的な掛け軸のサイズは横幅54.5センチメートル、縦190センチメートルの、「尺五」と呼ばれる大きさのものです。これを基準にして、尺五より小さいものを「尺三」、大きいものを「尺八」といいます。
掛け軸の横幅は、床の間の横幅の3分の1がちょうど良いとされています。床の間の大きさに合わせて、飾る掛け軸を選ぶと良いでしょう。
床の間掛け軸の選び方1.普段掛け
掛け軸は本来、行事や季節によって掛け替えるものです。その中でも、年中掛けることのできる「普段掛け」と呼ばれる掛け軸があります。ここでは、普段掛けについてご紹介していきます。
普段掛けの特徴
普段掛けは、年中掛けることのできる掛け軸です。定番は「山水」などの風景画や、四季の花が描かれた「四季花」などがあります。また、魔除けの「虎」や吉祥の「龍」、幸運を表す「フクロウ」なども、普段掛けとして用いられる図案です。
このように、普段掛けには定番の絵がありますが、自分が気に入った絵柄を選ぶことができます。最近では有名なアニメの絵が描かれた掛け軸もあり、バリエーションが豊富です。お試しの意味も込めて、最初は安価な掛け軸を選ぶのがおすすめです。
普段掛けは2本あるのがベスト
掛け軸は、同じものを掛け続けていると傷みが早くなります。定期的な掛け替えることを考えて、普段掛けは2本持つのがおすすめです。
長く掛ける場合でも、2~3か月に1度は掛け替えをしましょう。掛け軸を片付けて休ませることで、絵を長持ちさせることができます。普段掛けを2本所有していれば、交互に掛け替えて楽しむこともできるでしょう。
床の間掛け軸の選び方2.季節
掛け軸には、季節に関係するものが描かれた「季節掛け」があります。これらの掛け軸はそれぞれの季節を象徴する花、草木、生き物、景色が描かれており、四季折々のデザインがあります。
季節掛けは季節感を演出してくれる役割もあるため、実際の季節よりも約1か月早く掛けるのが良いでしょう。
この項目では具体的に、それぞれの季節の掛け軸に描かれるものを紹介します。
春
春の絵柄である「春掛け」は2月の終わりから掛けることが一般的です。それぞれの月で絵柄を変える方も多くいます。
たとえば、2月の終わりには、春一番に花を咲かす「梅」が好まれます。
3月~4月ごろ、春先に飾られる掛け軸の代表は「桜」です。ほかにも「木蓮」「鶯(うぐいす)」「桃」など多くの画題があります。
少し時期が過ぎて5月ごろになると、「牡丹(ぼたん)」や「菖蒲(しょうぶ)」が掛けられるようになります。端午の節句に合わせて、兜飾りと並べると季節感を演出してくれるでしょう。
夏
夏の掛け軸は、熱気や湿気に負けない涼しげなデザインが人気です。たとえば、じめじめする梅雨の季節には、「紫陽花(あじさい)」や「立葵(たちあおい)」が掛けられます。
7月から8月にかけての真夏の時期には、「朝顔」「鮎」「川蝉(かわせみ)」など、清涼感のある掛け軸が主です。このほかには、「百合」「露草」「金魚」なども飾られます。
秋
秋は初秋、仲秋、晩秋と、時期によって掛け軸の題材が変わります。初秋の題材としては「桔梗」「菊」「秋の七草(女郎花、ススキ、萩など)」があり、特に桔梗が人気です。
仲秋になると、より色鮮やかな掛け軸が好まれるようになります。秋らしい色合いが映える「紅葉」や「柿」、実りを感じさせる「稲穂」などが主な題材です。
冬が近づく晩秋には、「山茶花(さざんか)」や「烏瓜(からすうり)」が人気です。晩秋の時期は短いため、あまり見ることのない題材が多くなっています。
冬
お正月の時期には「慶事掛け」という掛け軸が飾られるので、「冬掛け」の出番は正月明けからです。
冬掛けには、赤い実の「南天(なんてん)」や雪景色を描いた「雪景」が選ばれます。ほかにも、冬にかけて咲く「椿(つばき)」や「寒牡丹(かんぼたん)」、「水仙」などの花も題材として選ばれます。
床の間掛け軸の選び方3.慶事や仏事
掛け軸には、祝い事や法事など、特定の行事の時にだけ飾られるものがあります。こうした掛け軸は、年中掛けや季節掛けと合わせて保管しておき、行事の際だけ掛けておくのが一般的です。
ここでは、行事の際に飾られる掛け軸を紹介します。
慶事
祝い事の際に飾る掛け軸は、「慶事掛け」とよばれます。ここでいう祝い事とは、正月、結婚、出産、誕生日、受験合格、昇進、長寿や新築のお祝いなどのことです。
慶事掛けに用いられる題材は、ほとんどが縁起の良いとされているもので、それぞれに意味合いがあります。そのため、祝い事の内容によって掛け軸を変えると良いでしょう。
たとえば、正月なら「旭日」「鶴」「七福神」などがメジャーです。これ以外にも、日本神話における最高神「天照大御神」の文字が書かれた掛け軸を慶事掛けとして使うこともあります。
長寿の祝い事なら、老夫婦が描かれた「高砂(たかさご)」や、長生きの象徴である「鶴亀」が有名です。いずれも縁起物であり祝い事全般に使えるため、一本持っておくと便利です。
ほかには結婚なら「鴛鴦(おしどり)」、出産なら「四君子」や「干支」が描かれた掛け軸など、祝い事の内容によってさまざまな絵柄が選ばれます。
仏事
仏事で掛けられる掛け軸は「仏事掛け」といいます。仏事とは「法事」「弔事」「お盆」「お彼岸」など、仏教に関する行事全般のことです。
仏事掛けには、大きく分けて「字像」と「絵像」の2種類が存在します。字像は文字が書かれた掛け軸、絵像は絵画が描かれた掛け軸のことです。
字像で最もメジャーなのは「南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)」と書かれた掛け軸です。字像の内容は、所有されている家が属する仏教の宗派によって変わりますが、「仏教の教えを一言にまとめたもの」である点は共通しています。
絵像のモチーフになっているのは、「十三佛」や「観音菩薩」、「阿弥陀来」などの菩薩、仏様です。
掛け軸には様々な種類があり、それぞれに対応した用途があります。
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まとめ
掛け軸には多くの種類の絵柄があり、飾る時期や用途がある程度決められているものもあります。一年中掛けられるもの、季節によって掛け変えるもの、行事の際に使うものなど様々です。今後、掛け軸を新調される際は、ご希望の用途や飾りたい時期を覚えておくと便利です。
企画では「普段がけは便利」でした。しかし、それでは、この項目の解像度が低いため、変更いたしました。